2015/12/20
インタビュー/Interview

NARUMI.hインタビュー

もともとは、美術大学への進学を諦めていたというNARUMIさん。しかし、美術から離れた時間の中で「自分には絵しかない」と感じたそうです。母親の後押しもあって進学を決意。現在は多摩美術大学に在学されています。一度離れてみてわかった美術への想い、そしてこれからについて迫ります。

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──アーティストになったきっかけを教えてください。

 もともと小さい頃から絵を描くのは好きでしたが、絵を描ける人は沢山いると思ったので、自分は普通大学へ行こうと諦めていました。高校時代は美術から離れようと思っていましたが、結局絵を描いていました。自分には絵しかないと気づけた瞬間でもあります。

 SNSなど、インターネット上で絵を公開し始めたときに、そこで初めて、身内以外の評価に触れました。そこで感じた面白さがいまの「アーティスト」という立ち位置につながっています。

 

──実際に美術大学に進学されて、変わったことはありますか。

 自分の性格などに変化はありません。しかし、考え方が変わったと思います。いままでは小さな予備校に通っていましたが、多摩美術大学に進学して、たくさんの人の多様な価値観に触れることができました。

 

──普段はどのような作品を制作されていますか。

 少女をモチーフにした平面作品を作っています。 少女の持つ愛らしさと凶暴性がテーマです。

 

──少女から「凶暴性」というテーマがでてくるのはどうしてですか?

 私は、見た目と中身が必ずしも一致しているとは思っていません。私生活の中でも、見た目と中身のギャップを感じることがあります。かわいらしい見た目をしている人でも、言葉にはトゲがあったり。そういった私生活で感じたことも影響しているのだと思います。

 

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──好きなアーティストはいますか。

 高橋留美子さんです。彼女が描くイラストは、シンプルなのに華があります。幼い頃から真似して絵を描いていたので、自分の作品にも影響があると思っています。

 

──高橋留美子さんの作品から、タッチ以外にも影響を受けていることはありますか。

 高橋留美子さんの絵柄は、古さを感じないんです。そのかわり今風だとも思いません。でも、昔の人にも今の人にも受け入れられています。私も時代性を感じない女の子を描いています。時代が変わっても変わらない価値観を残していきたいです。

 

──自身の作品をどのように見てもらいたいですか。

 もともと人形が好きだったので、作品の少女は無表情です。表情をつけると、少女の性格がわかってしまいます。無表情の少女がこれから一体どのような表情をするのか想像してほしいです。絵というのは、見た人に想像させるきっかけのなるものだと思っています。ですから、自由に作品を楽しんでほしいです。

 

──これからのアーティストとしての活動や展望があれば教えてください。

 絵の技術や考え方を研究したいです。 自分のスタイルが確立してくるのはもっと後で良いと思っているので、経験として沢山のことを自分の中に取り込んだ上で、自分に何が合っているのか丁寧に探したいです。

 その上でいま興味を持っているのがアニメーションや漫画ですね。 自分の絵がどういった表情を見せてくれるのか、それが失敗しても成功しても、自分にとっては一つの貴重な経験になってくれると思います。最初に計画を練ったり考えたりすることが苦手なので、まず手で試すタイプなんです。 考えるのは失敗したその後です。

 

──アートは社会にどのような影響を与えていると思いますか。

 言葉や文章では感じられない美しさ、心地よさを感じさせ、同時に人に考える機会を与えてくれる働きをして、今まで考えたこともなかったような主題を投げかけてくるものだと思います。

 

──言葉や文章では感じられないもの」について具体的に教えてください。

 言葉で「りんご」といって想像するものと、「りんご」の絵を見て想像するものって違いますよね。文章で言葉を聞いた時は、理想を想像してしまうのです。例えば「女の子」ときいたら、少なからず自分の理想の「女の子」を思い浮かべると思います。でも実際に「女の子」を見たら、同じ「女の子」でも想像とは違いますよね。

 

──確かに、「女の子と」聞いたら好きな子のことを想像してしまいました。

 あはは。(笑)

 

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──そういった、言葉で想像する美しさでは表現できない「美しさ」を表現したいのですね。

はい。

 

──では最後に、NARUMIさんにとってアートとはどのような存在か教えてください。

 アートは私にとって言葉と同等なものです。むしろ、言葉で伝えられないことも伝えられると思っています。

 また、絵を描くことは私にとって癖のようなものです。気が付いたらスケッチをしていたりします。生活の一部のようなものです。私に自由な想像性と力をくれて、私の生活を華やかにしてくれます。

 

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NARUMI.hの作品一覧

インタビュアー 北野佳奈子

ライター 小原光史

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