2016/01/31
インタビュー/Interview

アート鑑賞が食事のような生活の一部になるように。ーART HOUSE 岩本美咲さんー

アート鑑賞が食事のような生活の一部になるように。

ーART HOUSE 岩本美咲さんー

インタビュアー(イ):まずはじめにART HOUSEとは、どんなサービスなんですか?

岩本:眠っている絵画を掲げることで美術館のようにした都内の休眠スペースを、働ける空間にするのがART HOUSE(アートハウス)です。

12510782_228551614143447_1773394646_o

イ:このART HOUSEはどのような背景で開発されたのでしょう?

岩本:現代の多くのビジネスマンは単に”作業する人”ではなく、”創造する人”に変わってきている/変わらなければならないという観点から働く空間を美術館に変えたいと思ったんです。

イ:芸術作品に触れると創造性や感性が変化するのでしょうか?

岩本:実際に研究結果なども出ているのですが、近年アートセラピーという、アートと触れることによる心のメンテナンスを行っていたりします。ノルウェーで50000人を対象に行われたこのアートセラピーの検証結果は、うつ病になる患者の割合が減るなど主に感性や心の持ちようにポジティブな影響を与えることがわかっています。

また、サービス立ち上げに当たってインタビューさせていただいた「エクゼクティブは美術館に集う」の著者 奥村先生が、「美術館とは人が生まれ変わる場所だ」と言っていたのも印象的でしたね。

12421927_10153360424438785_633073033_o

イ:サービス立ち上げに当たってヨーロッパへ視察へ行ったと伺っているのですが、何か気づきはありましたか?

岩本:銀座にある至峰堂画廊さんの美術業界への問題意識に関わった際、自分自身の美術業界との距離を感じ、それを縮めるために芸術作品との接点を多く持ちたいと思ってヨーロッパへ行きました。

日本の美術業界の人って色んな所で「大地の芸術祭」のような美術作品と触れる場所をたくさん作っているんですけど、一方でかなり閉鎖的なコミュニケーションである場合も多いなと思っていて、一般の人々には開かれているようで開かれていないんですよね。

でもヨーロッパに行ってみると、環境が全然違う。海外では美術との距離がもっと近く、生活の一部のようになっていました。それを見て、日本でもこんな風に美術との接点をたくさんの場所で増やしたいと思ったんです。

イ:サービス立ち上げをしていくにあたって、苦労したことなどはありましたか?

岩本:ずっと普通の大学生として生きてきたので、ノウハウも何もない状態からのスタートで難しいことだらけでした。アートビジネスってマネタイズ(収益化)が難しいんですよ。日本人って、美術に対して共感はあってもお金は払わないと言われています。

イ:日本人があまり芸術にお金を払わないというのは、どう変えようと思っているのですか?

岩本:最初は絵画に対してお金を払ってもらうことを考えていました。でもそれって今まで金銭的な価値を感じていないものに、価値を無理にでも感じてもらってお金を払わせることにもなるかなと思って、それは凄く難しいことだと感じたんです。

だから、絵画に対して価値を感じさせるのではなく絵画をかける空間への価値を感じてもらおうと考えました。それがART HOUSEのきっかけです。

イ:長い期間コンセプトを練っていたと聞いています、一番大変だったことはなんですか?

岩本:何者でもない潜伏期間が辛かったですね。大学を休学して事業を考えている間は肩書きや名誉を得られるわけではない。すぐには成果が出ないことでも、懇々と地道に積み上げていかなければならない。そこに耐えるのが凄く大変でした。起業って自分のプライドが何度もへし折られそうになることに耐えることが凄く難しいっていうのが個人的な見解です。

いかにしてこの潜伏期間を耐えるかが凄く重要で、自分の中でどのようにして自分を認めてあげるのか、気持ちのバランスを保つことが難しかったですね。

IMG_074

イ:就職活動で得た内定を蹴ってまでこの事業に挑戦したと聞いています。その理由はなんだったのですか?

岩本:自分の意図してない評価に違和感を感じたのが大きいです。就職活動をして内定をもらっても、自分のどのようなところが評価されたのかわからず、世間の人が言う「良い企業」でも、何を持って「良い」と言っているのかもよくわからなかったんです。評価軸が自分の中でも、周りに対しても定まらないままでは、やりたいことができないという強い危機感を感じました。

この世界に足を踏み込んだら、今後もこの基準の中で生きていかなくてはいけない、優秀かどうかで存在価値を判断される世界からは逃れたいと思ってしまったんです。

イ:なるほど。非常に強い想いを感じますね。お話ありがとうございました。

 

 ART HOUSEは、現在クラウドファンディングサイト「Makuake」にて予約受付中です!美術業界を変えるかもしれないこのプロジェクトをぜひ応援よろしくお願いします!

「働ける美術館」−ART HOUSE−:https://www.makuake.com/project/inspiringoffice/

Webサイト:http://art-housee.com/yoyogi/

_MG_4126

岩本美咲 
●経歴: 1991年生まれ。東京大学4年生。京都府出身。 高校で休学しカナダに1年、大学でニュージランドに留学。 大学時代にグローバル企業のオフィスを直接多数訪問した経験から、海外のワーク空間が人々の創造性をとても大切にしていると感じる。 一方で日本でインターンシップを行った際に感じた日本企業のオフィス空間がとても無機質であることに違和感を覚え、日本で創造的ワークを行う空間造りに強い問題意識を持つ。 2015年夏には、一ヶ月間単独でヨーロッパのオフィス・美術館・カフェなどを50箇所以上視察。 グローバル企業はアーティストがオフィスをデザイン・プロデュースするなどアートを取り入れて創造空間を作り出していた。 また、美術館という空間では、美術館賞をするだけではなく、人々が生活空間のように自由に読書やワークをしている光景もたくさん見てきた。 そのような経験から、日本において、創造的活動をサポートする空間造りをアートの力を用いて行うことをライフワークとするに至る。 今年4月から大学を休学をし、GOB-Incubation Partnersというインキュベーションファームで「全ての休眠スペースを小型美術館化し、そこでアートのある環境でワークできるスペースを生み出す」ことをミッションとしたスタートアップ立ち上げを行っている。

●これからチャレンジしたいこと: 日本の休眠スペース(主にワンルーム)を全て美術館にし、「世界一小さな美術館」がまるで空気のように、誰にとってもすぐそこに存在する世界を創り出すこと。 その世界一小さな美術館で全ての人が創造的に生活・ワークできるようにすること。

 転載元

Article via GOB-IP BLOG

(当記事はGOB様、岩本様の許可を頂き転載しております)

関連記事

Polaインタビュー

デザイナーとして仕事をしていた時に「自分が本当に作りたいものを作りたい」と感じ、アーティストになったPolaさん。手がけている作品のテーマ、影響を受けている人物、これからの制作活動など、他では聞くことのできない貴重なお話をしていただいていま

佐熊香奈 インタビュー

 現在、武蔵野美術大学に通っていらっしゃる佐熊香奈さん。元々は美術系の大学に進むつもりはなかったそうなのですが、あるきっかけで美大を目指すようになったのだとか。彼女の制作する特徴的な作品の源泉にあるもの、そして佐熊さん自身の将来への見通しな

瀬戸優インタビュー

Q:絵を描き始めたのはいつ頃ですか? 立てないくらいの赤ちゃんの時から書いていました。 母親によると最初に書いていた絵は雨の絵だったそうです。 Q:藝術の道を志したのはいつからですか? 中学までは全然意識していませんでした。 高校1年生の時

山田哲生インタビュー

Q:アーティストになったきっかけはなんですか? 中学校時代、自分も周りも多感な時期だった時に人によって好きな音楽や絵が違ったんです。 それは当たり前の事かもしれませんが、何が良くて何がいけないのかそれが僕にとっての疑問でした。 そして、自

見澄ませぬゑインタビュー

今回のインタビューは東京藝術大学の見澄ませぬゑさんです。 絵を書き始めたきっかけからこれからの展望まで、アートに対するありのままが今回のインタビューで語られています。(本人の希望でお写真は作品のみとなっております。) Q:絵を書き始めたの