2016/02/14
展示会・展覧会レポート/Report

『天野喜孝展 進化するファンタジー』レポート 作品から想いを感じ取るとはどういうことか 

『天野喜孝展 進化するファンタジー』

Photo credit: catrain™ 貓。果然如是 via Visual Hunt / CC BY-NC-ND

 テレビアニメ『ガッチャマン』や『やさいのようせい N.Y.SALAD』、ゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズなどに代表される日本のイラストレーター、天野喜孝氏の作品展覧会が、3月8日まで有楽町朝日スクエア(有楽町マリオン11F)にて開催中である。

氏の幻想的な絵柄と優美な色彩は、今や日本だけでなく世界中の人々を虜にして離さない。優れた芸術家の原画が見られるチャンスということで、今回足を運んだ次第である。

……また、記事中で使用する写真は筆者の携帯端末で撮影したものであるが、その腕前については目を瞑っていただけるとありがたい。

“初期の作品”ならではの見どころとは?

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(筆者の撮影による)

「今回の展覧会は(氏が制作した作品の中でも)初期の頃の作品が多いです。今見返すと後悔するようなものもありますが、そうした作品にも、情熱などの様々に込められた思いがあって、絵を見た人は技術だけじゃなく、そういった思いを感じ取るのです」

-Youtubeより

この言葉は、一見すると非常に抽象的な物言いであるように感じられるだろう。しかし、筆者の展覧会で見聞きした体験とすり合わせて考えてみるに、感じ取るべき思いとは何なのか、また自分は何をどう感じ取ったのかということについてはそれぞれに理由があり、具体的であるように感じられた。

以下に筆者の体験の一部と、そこから感じ取り考察した物事を述べていく。また、あくまでも筆者個人の主観的な体験であるため、以下で述べることは実際に展覧会まで足を運んだすべての人々に共通したものではないことを先に述べておく。

展覧会で感じたこと

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(筆者の撮影による)

インタビューでの発言の通り、タツノコプロダクションに所属していたころの作品をはじめ2,000年以前に発売されたゲームソフト『ファイナルファンタジー』各シリーズのイラストなど“初期の作品”が多く展示されていた。

やはり天野氏といえばファイナルファンタジーである、と思う人が多いのだろう。展示作品数も関連したものが圧倒的に多く、筆者以外の来場者もそれらの作品が展示してある通路で思わず足を止めて長いこと鑑賞したり、連れ添って来場した仲間に自身のゲームに対する思い入れを語っている風景などがよく見受けられた。鑑賞する側の人々の思いや興奮が会場には満ちており、そこでは絵そのものを鑑賞すると同時に来場者一人一人の気持ちがどんなふうに揺り動かされているのかを肌で感じ取ることができたのである。ある種の活気で満ちた不思議な空間であった。

 “初期の作品”の他にも、アルミ板に自動車用塗料などを用いて描かれた2,012年制作の作品群『CANDY GIRL』シリーズや、数少ないが立体作品の展示物もあり、単なる作品鑑賞の場というだけでなく、新たな表現の幅を求めて活動する氏のみずみずしいアグレッシブさを窺い知ることができる展覧会であった。

制作者の想いと鑑賞者の想い

先にも述べたが、上述したものはあくまで筆者個人の体験である。恐らく、この作品展に来場する人々はそれぞれが違う思いを抱いて来場し、それによって受け取る思いの形というものも微妙に変わってくるに違いない。

つまり何が言いたいかと言うと、素晴らしい展覧会であったからファンは行くべしということである。何をどう感じ取るかではなく、やはり好きだから見に行くといった具合の方が楽しいし、また作品に対して純粋な姿勢を持つことができるであろう。行くべし。行くべし。

公式ホームページはこちら

天野喜孝展 進化するファンタジー

※3月8日までの開催

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