2016/02/17
インタビュー/Interview

佐熊香奈 インタビュー

 現在、武蔵野美術大学に通っていらっしゃる佐熊香奈さん。元々は美術系の大学に進むつもりはなかったそうなのですが、あるきっかけで美大を目指すようになったのだとか。彼女の制作する特徴的な作品の源泉にあるもの、そして佐熊さん自身の将来への見通しなど、様々なお話を伺いました。

20160217_7773

──元々は美術に興味はなく、高校も普通科に通われていたとか。

 はい。とても苦手だった体育よりも、美術が苦手だったんです。美大に関する知識も漫画の『ハチミツとクローバー』で読んだものくらいしかなくて、全く考えてなかったんですが……。高3の時に進路に悩んじゃったんですね。幼稚園の先生になろうかな、とか考えてました(笑)

 でもそんな時に高校の美術の先生にちょっと相談して、「元々絵は苦手だけれどものづくりとかは好きなんです」みたいな話をしたら「じゃあ美大に行くのが絶対いいよ」って。そのままその先生が講師をされていた予備校に入り、美大を目指すようになったんです。

 

──高3の時から目指されたんですね、受験は大変ではなかったですか。

 かなり大変でしたね。最初よくわからないままにデザイン科に入っていたんですが、やっぱり絵を描くのはあまり得意ではなかったし、好きではなくて。現役の時の受験に落ちて、一年浪人するとなった時に改めて考えたらやはりものづくりがしたいな、って思ったんです。そう思って工芸科を目指すことに決めたんです。

 

──工芸科ということですが、普段はどういう作品を作られているんですか。

  金工作品と、あとはチェーンソーで丸太を削って作る作品もあります。

 

──チェーンソーですか?

 はい、なかなか珍しいのかもしれませんが。(笑)見た目とのギャップがあるとも言われるんですが、意外にチェーンソーの扱いに力はいらないんですよ。むしろやり直しがきかないということで事前に何度もシュミレーションしたり、いろんな面から慎重に削っていったり、と繊細さが求められますね。

 

──金工とチェーンソーでは制作にあたっての心構えが全然違いそうですね。

 それはあるかもしれませんね。大まかにいうと、金工はとてもとても繊細に。チェーンソーは繊細でありながらも大胆に。時間でいってもやっぱり金工作品は3〜4週間はかかりますが、チェーンソー作品だとデザインを考えてから5日ほどで完成しますね。

20160217_3816

──Thisisgalleryにご掲載頂いている『Flamingo』のように、動物モチーフの作品が普段多いのですか。

 はい。例えば『Flamingo』でいうと、フラミンゴのあの足の細さにどこか儚さを感じて。対象を見た時の私自身の気持ちと、風景の中に溶け込むフラミンゴの姿とを作品の中に表現しました。

 他の場合でも、動物園も好きでよく行きます。制作の参考とする時はかなり長いこと特定の動物を見ていたりするので、なかなか友達に一緒に行こうとはいいづらいですね、多分面白くないと思います。(笑)

 

──ご自身は工芸科にいらっしゃいますが、他の学科や作品ジャンルで気になるものはありますか。

 さっきの内容にも関連するのですが、私は動物のように『動く対象物』を静物としての作品に落とし込みたい、その中でどう躍動感を表現するか、という葛藤があるのですが……。映像作品のようなジャンルだと、動いているものを動いているままに表現することができるじゃないですか。それもまた面白そうだと思いますし、気になりますね。

 この『動いているもの』をどう表現するかって人によっても結構手法が変わるもので、工芸科でも特に男性の方なんかは『稼働』する作品をこだわり持って作られる方も多いですよ。

スクリーンショット 2016-02-17 1.10.18

──自身の作品が人の手に渡ったら、どのように感じますか。

 私の場合は、一度誰かの手に渡ったらその作品は完全にその方のもの、という感じですね。そのあともしかしたら別の方の手に渡ることもあるとは思いますが、手元に置いてくれてる皆さんのもとで可愛がってもらえるならそれでいいかな、と思っています。 

 

──今大学の四年生で、就職活動をされていたとか

 はい、かなり大変でしたね。卒業制作と並行しての就活だったので忙しいこともそうですが『自分は何をやりたいのかな』と精神的に参ってしまうことも多くて。そういう意味では制作は心のガス抜きのような感じでもありました。どんな時でも、やっぱり私はものづくりが好きなんだな、って原点に帰れるといいますか、そんな感覚です。

 

──就職はどういった業界に進まれるんですか。

 美大生の就職支援や、美術系の人材紹介といった仕事をする予定です。直接はものづくりとは関わらないんですが、20代のうちは色々な人に会って、知らないことをもっと勉強したいと思って。 

 

──制作活動の方も続けられる予定ですか。

 基本的には仕事が優先にはなってしまうと思いますが、できる限り続けたいですね。というか、制作は一生続けたいです!(笑)

20160217_3233

4月からは社会人になられる中で、アーティストとして制作も続けられるという佐熊香奈さん。今後のが活躍が楽しみですね。

スクリーンショット 2016-02-17 1.00.11

佐熊 香奈さんの作品一覧

 

関連記事

瀬戸優インタビュー

Q:絵を描き始めたのはいつ頃ですか? 立てないくらいの赤ちゃんの時から書いていました。 母親によると最初に書いていた絵は雨の絵だったそうです。 Q:藝術の道を志したのはいつからですか? 中学までは全然意識していませんでした。 高校1年生の時

山田貴裕インタビュー

アーティストになったきっかけは、電車の中で旧友と出会ったこと—小さな頃から絵を書いていらっしゃったそうですが、本格的にアーティストになったのはごく最近のことであるという山田さん。愛に溢れた作品が人気の彼に、アーティストになったきっかけや、ご

NARUMI.hインタビュー

もともとは、美術大学への進学を諦めていたというNARUMIさん。しかし、美術から離れた時間の中で「自分には絵しかない」と感じたそうです。母親の後押しもあって進学を決意。現在は多摩美術大学に在学されています。一度離れてみてわかった美術への想い

山田哲生インタビュー

Q:アーティストになったきっかけはなんですか? 中学校時代、自分も周りも多感な時期だった時に人によって好きな音楽や絵が違ったんです。 それは当たり前の事かもしれませんが、何が良くて何がいけないのかそれが僕にとっての疑問でした。 そして、自

Polaインタビュー

デザイナーとして仕事をしていた時に「自分が本当に作りたいものを作りたい」と感じ、アーティストになったPolaさん。手がけている作品のテーマ、影響を受けている人物、これからの制作活動など、他では聞くことのできない貴重なお話をしていただいていま