2016/02/26
アートコラム/Column

おもちゃに命を与えた会社は会社自体も生きていた?ピクサーのマーケティングとは

ただのディズニーの子会社なんて言わせない、ピクサーという会社

あのスティーブ・ジョブズも関与してた?

Photo credit: marumeganechan via Visual Hunt / CC BY-ND

先日2/12、映画『スティーブ・ジョブズ』が公開され、スティーブ・ジョブズという人間を改めて目にした人もいるのではないでしょうか。短命であったにも関わらず映画化されるほどの偉人となった彼が携わった会社としてアップルがあることは言わずとも知れた有名な話ですね。でも、それだけではなくもう一つ、貢献した会社があるのをご存知でしょうか?

世界初、フルCG長編アニメーションを制作した会社

 

それは『ピクサー・アニメーション・スタジオ』という映像制作会社。もし、この会社に聞き覚えがなくとも『トイ・ストーリー』という映画ならみなさんご存知のはず。人間のいないところではおもちゃが動く、という発想をCGで再現した長編アニメーション。その『トイ・ストーリー』をはじめ、『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』『カーズ』などの名作を生んだ会社がピクサーです。同じフルCGアニメーションとしては『シュレック』でおなじみのドリームワークスや、ミニオン人気の著しい『怪盗グルー』シリーズのイルミネーションも制作会社としてあげられますし、もちろん今ではディズニーも『シュガー・ラッシュ』『ベイマックス』などのフルCGアニメーションを制作しています。ですが、最初にその試みを実行したのは他のどこでもない、ピクサーなのです。

 

社長の発言から学ぶ、生きる会社のつくりかた

そしてそのピクサーの設立に大きく携わった人物としてあげられるのがもう一人、現社長エド・キャットムル氏。彼の発言から、その成功の秘訣を探ってみました。

フリースタイルによって生まれるクリエイティビティ

ほとんどの会社では、こんなふうに事が運ぶはずです。「この2つの事業は似通っている。ならばツールと作業工程、つまり仕事のやり方を統合しよう。両者のR&Dも統合して、重複を避けよう」

 我々は正反対のアプローチを取りました。各部門にこう告げたのです。「他部門のツールに目を向けて構わないし、気に入ればそれを使ってもいい。しかしそうするかどうかは、完全に自由裁量でよい」と。各部門にはそれぞれ違うアイデアを持つ開発グループがいますが、我々が「他者のアイデアを取り入れる義務はない」と告げたことで、むしろ互いに自由に話し合えるようになったのです。

引用元 ピクサーとディズニー映画を成功させた エド・キャットムルのマネジメント

 

こんな風に、ピクサーはあまり堅苦しくない制度をよく取っています。組織制度上ももちろんですが他にも、会社内にはスクーターが飛び交っている、社員専用カフェの従業員たちの名前も映画もエンドクレジットに載る、など。色々と逸話が耐えません。最も有名な話としては、スタジオ内の各スタッフの個人作業スペースは自由に装飾して良いことになっているハナシがあります。ピクサーの総監督とも言うべき、あのジョン・ラセターの部屋はおもちゃだらけ。とあるスタッフなんて、作業スペースの奥に隠し部屋までつくったそう。とんでもないクリエイティビティの持ち主です。

失敗は成功のもと。と一番思うべきはマネージャー

失敗は自転車の乗り方を覚えるのと同じだ。何回かつまづいたり倒れたり、つまり失敗しないで乗れるようになるとは誰も思っていない。「できるだけ低い自転車を見つけ、転んでもいいように肘当てと膝当てをつければ大丈夫」(中略)「これからギターの弾き方を覚えようとする人に、『一度きりしか鳴らせないから、コードの抑え方を本当によく考えたほうがいいよ。もしそれで失敗したらあきらめよう』とは言わないでしょう。それでは覚えられないですよね」(P.155)

出展 ピクサー流 創造するちから

 

こちらは彼の著書から。『ファインディング・ニモ』の監督、アンドリュー・スタントンの言葉らしいですが、ピクサーの経営陣全体としてもこれを大事にしているそう。失敗を恐れていてはなにも生まれない。たしかに。あれこれ先を考えすぎると作業というのは行き詰まってしまうもの。

学校の部活とかでも、大会の結果のことばかり考えていると嫌になっちゃいますもんね。好きだからやってることのはず、その好きな気持ちを忘れないぐらいに頑張りたい。でも失敗する時はあって。そこをサポートしてくれるのが先輩であったり顧問であったり。その環境が会社になっただけのことと思えば、おおいに納得の考え方です。作品もですが、なによりスタッフ=人を大事にする気持ちが見えます。だから無機物であるはずの登場人物も、あんなに生き生きと魅力的に描かれるのではないでしょうか。

 

もっと知りたい、ピクサー・アニメーション・スタジオ

スタジオ設立30周年記念 ピクサー展

今回はマネジメント論に近いところをさくっとお話しいたしましたが、ピクサーという会社の魅力は尽きることはありません。クリエイティブなことが好きな人は1度は働いてみたい現場なハズ。これからも記事で紹介できたらとは思いますが、まずはこちら、ピクサー展が開催されるので行ってみてはいかがでしょうか。名作のウラ側、垣間見ることができるはずです。

*展覧会情報

スタジオ設立30周年記念 ピクサー展
開催期間:2016年3月5日(土)〜5月29日(日)
開館時間:10:00〜18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日および3月22日(火)
※ただし3月21日(月・祝)、5月2日(月)、5月23日(月)は開館。
会場:東京都現代美術館(企画展示室 1F/3F)
観覧料:一般1,500円(1,300円)/高校・大学生1,000円(900円)/小・中学生500円(400円)
※( )内は前売り料金。未就学児は無料。
※20名以上の団体購入は当日料金から2割引(東京都現代美術館で購入の場合のみ)
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳の所持者と、その付き添い2名までは無料。
※3月16日(水)、 4月20日(水)、5月18日(水)はシルバーデーにより65歳以上は無料(年齢を証明できるものが必要)。
※本展チケットで「MOT コレクション」(常設展)も観覧可能。

■「ピクサー展」公式HPはこちら

 

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