2016/04/11
文芸/Book

ジブリ映画「借りぐらしのアリエッティ」の原作として有名。『床下の小人たち (メアリー・ノートン )』

ジブリ映画「借りぐらしのアリエッティ」の原作


Image via Amazon

ジブリの映画の「借りぐらしのアリエッティ」原作とし有名な、イギリスの古風な家の床下に住む小人の一家を描いた小説のシリーズ一作目にあたります。ユニークなのはこの作品で登場する小人たちは、人間から物を借りることで暮らしていくという設定につきるのではないでしょうか。あそこにあったはずのものがいつのまにかなくなっている……どうしたんだろう?という誰もが一度は経験することに対して、実はそれは小人たちが生活するために一時的に借りているというファンタジー的な空想を膨らまして物語にしているところが楽しくて、読む人のイマジネーションを刺激してくれます。

「こびと」とはいったい何者なのか?

71DY63H-dKL
Image via Amazon

また、この小説に登場する小人たちはもともとはたくさんいた小人一族の最後の生き残りで、自分たちはいずれは滅びゆくものということを本能的に自覚していて、そこにはもの悲しさが溢れていて作品に深みを与えています。

主人公にあたるアリエッティは好奇心旺盛で父や母からの注意も聞かずに人間の世界を見ようとする元気で行動力のある少女で、一方で父親のポッドは普段は家族の生活を支えるために人間から物を借りに行く寡黙な男の設定で、母のホミリーはおしゃべりで余計なことをついつい喋ってしまうそいうキャラクターの描き分けも良くできているのも魅力です。小人たちから見ると人間の世界は、怪物みたいな巨人の世界という風に小人目線から見た世界の見え方を臨場感たっぷりのわかりやすい言葉で表現している様は、原作者の確かな文章力のあらわれともいえ、読みごたえがたっぷりとあるのも魅力ですね。

内容紹介

イギリスの古風な家の床下に住む小人の一家。暮らしに必要なものはすべて、こっそり人間から借りていましたが、ある日、その家の男の子に姿を見られてしまいます―カーネギー賞を受賞した「小人シリーズ」の第1作。

-Amazonより引用

書籍情報

ジャンル: ファンタジー

著者: メアリー・ノートン

発行日: 2000/9/18

発行元: 岩波書店

関連記事

GOTH(乙一)〜殺人に魅せられた少年と少女の暗い世界〜

乙一氏の描く、仄暗きミステリーの傑作Image via Amazon暗黒系というジャンルに位置し、その魅力的な陰惨で暗くどこか懐かしさの覚える世界観と、だがシンプルで無駄が無い文章構成、そして徹底的なまでの描写。それらがまるで蜘蛛の糸のよう

【書評】楽園のカンヴァス(原田マハ著)~画家の情熱が引き金となった絵画ミステリー~

原田マホ氏の代表作『楽園のカンヴァス』Photo via Amazon原田マハさんの代表傑作とも呼べるこちらの作品は、アンリ・ルソーと呼ばれる奇才の画家の作品「夢をみた」の鑑定を巡ってニューヨーク近代美術館のキュレーターであるティム・ブラウ

名前は知ってる、でも読んだことはない...そんな方も多いのでは?「銀河鉄道の夜(宮沢賢治著)」

教科書でもよく登場しますよね、『銀河鉄道の夜』 Image via Amazon この本は宮沢賢治の本の中で一番名前が知られているものの一つだと思います。宮沢賢治の小説は作者の特徴と言えるかもしれませんが、意味がわかりづらかったり

【書評】アルジャーノンに花束を(ダニエル・キイス) 〜天才へと変貌した男は、世界に何を想うのか〜

日本でも二度のドラマ化、世界的名著『アルジャーノンに花束を』 Photo via Amazon 『アルジャーノンに花束を』。ダニエル・キイスによって綴られたこの小説をご存知の方は多いのではないでしょうか。小説としての人気もそうですが、そ

砂の女〜ノーベル文学賞に最も近かった安部公房の作品〜

"奇才"安倍公房の描く『砂の女』ノーベル文学賞に最も近かった男Image via Amazon急死しなければ、ノーベル文学賞を受賞していただろうとされる安部公房の名作「砂の女」。1962年に発売された、半世紀以上前の作品ですが、世界30カ国