2016/05/11
アート/Art

生誕300周年。再発見された伊藤若冲の魅力

数世紀の刻を超えて見出されし絵画

伊藤若冲という江戸時代の人間をご存じだろうか。今年で生誕300周年を迎える、主に動物を題材とした絵で名を馳せた画家である。名を馳せたといっても、彼の名が知られるようになったのは近年になってからのことで、歴史の教科書に載ったり、海外の画家に強い影響を与えたりしたわけではない。当時の『主流』であった狩野派に早々に見切りをつけてしまったせいもあって、あまり評価はされてこなかったからだ。しかし21世紀に入って科学技術が発展したことにより、この伊藤若冲の絵の精巧さがとてつもないものであることが判明し、今にわかに注目を集めている。

「具眼の士を千年待つ」

伊藤若冲の絵画の最大の特徴は、その精緻な表現である。身近なものを題材として、非常に緻密に描かれたその絵は、全体的に暗い雰囲気をまといながらも、実物以上の迫力を醸し出す。ただの動物画と一線を画すこの迫力の秘訣は、その描画法にある。それは『升目描き』と呼ばれるもので、全体を約9㎜の方眼で区切り、その一つ一つを彩色していくことで絵を完成させる、というものである。伊藤若冲の生み出したとされる技巧は絵絹の裏からも彩色する『裏彩色』など、升目描き以外にも沢山あり、その一つ一つが絵に力を与えているのだが、やはりこの『升目描き』が最大の特徴といえるだろう。西欧の印象派が用いた『点描画』と似た手法で、方眼が大きめであることも手伝ってこれまでの評価は決して高くなかった(評価されていなかったわけではない)のだが、近年の顕微鏡などを用いたより詳細な研究により、その精密さが西欧のそれにも全く引けをとらないものであることが判明したのである。伊藤若冲の「具眼の士を千年待つ」(評価してくれる人が現れるまで、千年だって待とう)という言葉が、実現されたのである。

5月9日現在、東京美術館で伊藤若冲展が開催されているほか、今年は全国各地で若冲展が開かれる。現代芸術にも影響を与える彼の作品を一度見にいってはいかがだろうか。

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