2017/05/11
アート/Art

実は見逃している!? オフィス街永田町でめぐるアート

 

皆さんはオフィス街に不思議なオブジェが設置してあるのを見たことはありませんか?

 

見慣れすぎて、そのまま前を通り過ぎていませんか?

 

オフィスビルは景観の整備や活動の一環として美術作品を設置することが多いです。

大きな建築物であればあるほど大きなオブジェや多くのアート作品が設置してあり、周辺の緑や建物と調和しています。

一貫性のあるストーリーやテーマが設定されているので、そういう背景を知るとより鑑賞も楽しめます。

お昼ご飯を食べながらや、オフィスの帰り際にガーデンテラスによってコーヒーで一服しながらアートをより身近に感じてみてください。

 

今回は永田町駅9番出口を出た所に広がる紀尾井町 TOKYO GARDEN TERRACEのパブリックアートをご紹介します。

 

『Echoes Infinity ~Immortal Flowers~』大巻伸嗣

大巻

紀尾井タワーの入口に咲き誇る大きくカラフルな花々とそこに集う蝶が美しい空間を作り出しています。日本の伝統的な花柄や紋様に命が吹き込まれ、ビル群の中に大きな命の息吹を感じることができます。

 

素材はステンレスで、鏡面加工、ウレタン塗装がしてあります。

高さは8mもあり、幅と奥行きも8mずつあるので大変な存在感を放っています。

 

鏡面加工されたステンレス部分は周りの風景を反射して空やビル群にとけこんでいます。しかしビビッドな彩色がされている花や蝶はそこから浮き上がり、とても華やかな雰囲気を放っています。

対照的なものが一つになっているのに、不思議と調和して町にとけこみつつも生き生きとした花と蝶が存在しています。

 

大巻

覗き込むと、どこからが像でどこからが空なのか、ビルなのか、境界があいまいになります。不思議で面白い感覚を味わえるので、ぜひ覗き込んでみてください。

 

大巻

そこから、ビル脇に延びる桜並木側にもふたつ、花と蝶の単体像があります。木陰にたたずむ姿は、大きくカラフルな彩色にもかかわらず風景になじんで、道行く人や傍で読書する人たちの心を和ませます。

 

大きいものと小さいものの対比で、命の永遠の循環と限りあるこの命の一瞬一瞬の大切さを追及する作家の表現がなされています。

 

作品データ

2015-2016 ステンレス、鏡面加工、ウレタン塗装、W8000×H8000×D8000㎜

2015-2016 No.1:アルミニウム、ウレタン塗装、W2120×H3050×D1200㎜

       No.2:アルミニウム、ウレタン塗装、W2100×H2769×D1600㎜

 

大巻伸嗣 Shinji Ohmaki

1971年岐阜県に生まれ、1995年に東京芸術大学美術学部彫刻学科卒業、97年には同大学院彫刻専攻を修了しました。現在はART FRONT GALLERYに所属しています。

「トーキョーワンダーフォール2000」に『Opened Eyes Closed Eye』で入選以来、『Echoes』シリーズ(資生堂ギャラリー、水戸芸術館、熊本現代美術館、東京都現代美術館等)、『Liminal Air』で(東京ワンダーサイト、ギャラリーA4、金沢21世紀美術館、アジアパシフィック・トリエンナーレ2009、箱根彫刻の森美術館等)、『Memorial Rebirth』(横浜トリエンナーレ2008)を制作しています。

展示空間を非日常な世界に引き込み、見ている人の感覚を刺激するダイナミックなインスタレーション作品やパブリックアートを発表しています。

また、エルメスやルイ・ヴィトンでインスタレーションを発表し世界からも注目されているアーティストです。

大巻伸嗣個展

会期:2017年4月14日~6月4日

場所:YCCヨコハマ創造都市センター3階

時間:11:00~18:00 ※金土祝は19:30まで(入場は閉館30分前まで)

料金:300円(18歳以下は入場無料)

 

 

『空玉』青木野枝

青野

赤坂御門とつながる広場にはリズミカルに組み合わされるリングの像があります。鋼鉄で作られていて、表面のサビや形の確かさから鉄の普遍性、不可逆性を感じるのにもかかわらず、見る角度によってシルエットが変わるところから不思議と柔らかさを感じれる作品になっています。

IMG_1965

作品データ

2016 コルテン鋼、W2754×H3048×D1707㎜

 

青木野枝 Noe Aoki

1958年東京に生まれ、1981年に武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業、1983年同大学院彫刻コース修了しています。

資生堂ギャラリーなど、各地で個展を開き、霧島アートの森美術館や、神奈川県立近代美術館、資生堂、伊勢丹相模原店など多くのところにパブリックアートとして作品を展示しています。

 

 

『the wind of self』坪田昌之

wind 坪田昌幸

紀尾井レジデンス入口の前には、ビルの隙間を吹き抜ける風を感じさせるフォルムの大理石彫刻があります。

細かい波目が複雑な模様を生み出し繊細な表情をあらわし、それでいて単純な白くて四角い形が大理石彫刻の力強さを醸し出しています。

目には見えない風を感じさせてくれ、石が大地の巡りや優しさを表現しています。

坪田昌之 wind

作品データ

2016 大理石、W1800×H1300×D200㎜

 

坪田昌之 Masayuki Tsubota

1976年に大阪に生まれ、1999年大阪芸術大学美術学科卒業、2001年同大学院彫刻を修了しました。

今最も人気のある作家のうちの一人です。多くのアートイベントに出品し、ヒルトン東京やホテルニューオータニなどにもコレクションされています。

 

 

『White Deer』名和晃平

名和晃平

「水の広場」には、白い大きな鹿の彫刻が設置されています。鹿は昔から神の使いとして人々の信仰を支えるアイコンとして重要な役割を担ってきました。この作品は鹿のはく製を3Dスキャンし、デザインされアルミ鋳造で制作されました。

 

規則的なように見えて実は不規則的な螺旋を描く鹿の体は、鹿としての写実性を欠いているのにもかかわらずより神々しかったり、幼かったりと様々な表情を見せます。

鹿は、人間のエゴのせいで人里に現れることが多くなっています。そういった鹿は「迷い鹿」と呼ばれています。インターネット上で「迷い鹿」になっていた鹿のはく製を使用して制作されています。

名和晃平

大都会東京にも大きな「迷い鹿」が現れ、長い冬をさまよったせいか角は長く伸びきった表現がされています。

 

春の訪れはもう間もないのでしょうか。

名和晃平

ビルの隙間にのぞく空に彼はどんな思いを馳せているのでしょうか。

具体的表現と抽象的表現が混在するせいで人それぞれ感情移入しやすい作品で、水の音を聞きながらぼーっと鑑賞、じっくり自分の内面を見つめることが出来、なおかつ癒されます。

都会の騒々しさや忙しさを忘れさせてくれます。

ぜひゆったりとした時間を過ごしてみてください。

 

作品データ

2016 アルミ鋳造、W4042×H6000×D4442

 

名和晃平 Chouhei Nawa

1975年大阪に生まれ、1998年京都市立芸術大学美術学部美術学科彫刻学部を卒業、2000年同大学院彫刻専攻修了、2003年同大学院で博士号を取得します。現在、SANWICHIHに所属しています。

国内外問わず、様々なところで個展をし、2007年には京都府文化賞 奨励賞を授与されました。

ビーズを使った作品が有名で、高橋コレクションなどにも収容され人気を博しています。

 

 

『ヨヨ』隠崎麗奈

ヨヨ 隠崎

水の広場の脇を進んでいくと、右側には庭園が広がっています。

その庭園の中に、純白の大理石彫刻が現れます。

 

真珠をモチーフにした作品で、水の広場にもリンクするしずく型をしています。

生き物すべてを形作り命をつなぐ水の雫と「生きる宝石」真珠をモチーフにすることで、生き物すべての輝きや大切さを感じることが出来ます。

 

作品データ

2015-2016 大理石、W1400 ×H1800×D1400㎜

 

隠崎麗奈 Reina Kakurezaki

1977年岡山に生まれ、2002年武蔵野美術大学大学院彫刻コースを修了しています。

「アートは完全に娯楽であるべきだと思っています。楽しい感じ、うれしい感じ、見ているすべての人に考えることなくプラスの印象を抱かせることを目標に製作しています。物が持つ雰囲気の様を可視化できないかと考え、そんな雰囲気を生み出すものを作るという事をしています。」と、語っています。

 

 

『息吹く朝』竹田康宏

竹田康宏

水の広場を抜けると、ハーブなど様々な緑があふれる「芽生えの庭」で可愛らしい黄色い彫刻が目に入ります。

芽生えや新たな若葉、つぼみを感じさせる姿と鮮やかなレモン色が、未来への希望や祈りを感じさせる作品となっています。

 

広場にはベンチが設置されており、ゆったりと緑と心地よい風を感じ日光浴をしながら鑑賞できます。

 

作品データ

2016 ガラス繊維、ビニエステル樹脂、ステンレス製、フッ素樹脂塗料、W1300×H2100×D450 ㎜

 

竹田康宏 Yasuhiro Takeda

1953年熊本に生まれ、1983年には東京芸術大学大学院美術研究科を修了しています。

1980年からパブリックアート制作の活動を開始し、神奈川県立近代美術館や新潟県立近代美術館など多数の場所でコミュッションワークをしています。

 

 

『System No.31』ジュリアン・ワイルド

ジュリアンワイルド

清水谷公園とつながる木立には銀色の彫刻があります。ステンレスのパイプをつなぎ合わせ楕円を描いていて、見る角度、時間などでその時々の表情を見せてくれます。

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直線で表現される柔らかい曲線は、自然の中にもある樹木や蜘蛛の巣などを連想させ不思議と溶け合いながら、光を反射し輝きを放っています。

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緑の茂る、小道はちょっとしたお散歩に最適なのでゆっくり歩いてみてはいかがですか。

 

作品データ

2016 ステンレス、W2000×H2000×D500mm

 

 

『空の記憶 2016』西野康造

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出典

紀尾井タワーオフィスエントランスにスケール感と透明感あふれる作品があります。エントランスの吹き抜けの空間を最大限を生かしたこの作品は建物の高層階から望む大空をイメージした作品だそうです。

 

雲の稜線を感じさせる曲線、紫・青・黄色で絶妙に塗り分けられたチタン製の作品で、見る場所、光の当たり方によって印象を変えます。

空のようにゆったりと動きながら姿を変える様子は、ビルの中にも関わらず雄大な大空を表現しきっていて、ずっと眺めていられる作品になっています。

 

こちらはオフィスビルですので、鑑賞するときはご注意ください。撮影も禁止となっています。

 

作品データ

2015-2016 チタン合金およびチタン(電解着色)、ステンレススチール、W28800×H250×D4800㎜

 

西野康造 Kozo Nishino

1951年兵庫に生まれ、1977年に京都市立芸術大学彫刻専攻科を修了しました。その後、ヨーロッパ、北アフリカ、中近東アジア各国の遺跡などを訪問しています。

国内外で多く展示を行い、京都美術文化賞など数多く受賞経歴も持っています。作品の収蔵先も国内外問わず様々なところに設置されています。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

オフィス街にも様々なアートがあふれています。

何気なく見逃している彫刻などのアート作品もその作品について知ると、よりその町の雰囲気を楽しめ日常に彩りを添えてくれます

 

ぜひ足を運んでみてください。

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