2017/06/12
アート/Art

天才?サイコパス? デヴィッド・ボウイも影響を受けたエゴン・シーレとは?!

 今年の1月の映画で知った人も多いと思いますが、

第一次世界大戦前にクリムトと並んで活躍した、象徴派や表現主義を代表する画家・エゴン・シーレ

まだタブー化されていたヌードを大胆な構図で描き、常にスキャンダラスが絶えなかったシーレは、幼児性愛者で近親相姦歴や逮捕歴もあります。

今でいうサイコパスだったのか?それとも天才か?!デヴィッド・ボウイを魅了した天才画家を徹底解析!

 

 

エゴン・シーレ 死と乙女

劇場公開日 2017年1月28日

 

20世紀初頭に活躍し、28歳の若さで早逝した異端の天才画家エゴン・シーレの半生を描いた伝記ドラマ。数多くのモデルと浮名を流すなど、スキャンダラスな逸話も多いシーレにとって、特に大きな存在となった2人の女性との濃密な日々が描かれる。1910年、美術アカデミーを退学したシーレは画家仲間と「新芸術集団」を結成し、妹ゲルティの裸体画で頭角を現す。ゲルティも16歳でヌードモデルを務め、敬愛する兄を献身的に支え続けた。グスタフ・クリムトから17歳のモデル、ヴァリを紹介されたシーレは、彼女と同棲を開始。幼児性愛者などと世間から誹謗中傷を浴びながらも、シーレはヴァリをモデルに数々の作品を発表。シーレが時代の寵児ともてはやされる中、第1次世界大戦が勃発。シーレとヴァリは時代の波に翻弄されることとなる。

出典 映画.com

 

エゴン・シーレ

出典https://ja.wikipedia.org

出典https://ja.wikipedia.org

 

オーストリアの画家 エゴン・シーレ(1890 ~ 1918年)

当時盛んであったグスタフ・クリムトらのウィーン分離派を初めとして象徴派表現主義に影響を受けつつも、独自の絵画を追求した。強烈な個性を持つ画風に加え、意図的に捻じ曲げられたポーズの人物画を多数製作し、見る者に直感的な衝撃を与えるという作風から表現主義の分野に置いて論じられる場合が多い。

出典 wikipedia

 

オーストリア・ハンガリー首都ウィーン近郊トゥルンで生まれ、父親は鉄道員で二人の姉と4歳年下の妹ゲルトルーデ(ゲティ)がいました。
 15歳のときに父親を梅毒で亡くし、その後、伯父のレオポルドに育てられます。

幼少期から美術の才能を開花していたシーレは、叔父の援助もあり、16歳でグスタフ・クリムトと同じウィーン工芸学校に学んだ。クリムトはのちにシーレと師弟関係になり、モデル代の立て替えやウィーン工房への推薦などいろいろと面倒を見てもらいます。

その後は、よりアカデミック色が強く純粋芸術を追求する場であったウィーン美術アカデミーへ更に進学しました。

ちなみにウィーン美術アカデミーとは、シーレが合格した1906年の翌年と翌々年に、アドルフ・ヒトラーが受験して不合格になった学校でもあります…

 

芸術家として独立

1908年、18歳ではやくも個展を開き、翌年にはアカデミーを退学し、自らのアトリエを開いています。
 シーレは、妹のゲルトルーデ(愛称ゲルティ)に執着し、ゲルティをモデルとして裸体画をはじめ、多くの絵を描きました。

さらに、シーレゲルティは近親相姦の間柄だったと言います。

以下 ゲルティ

出典http://blog.livedoor.jp/kokinora/archives/1016576530.html

出典http://blog.livedoor.jp/kokinora/archives/1016576530.html

出典http://remove.jugem.jp/?eid=124

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シーレの絵は、人体に関する研究も単に人体構造を作品に反映させるだけではなく、性の部分などタブー視されていた部分も作品に取り込んでいます。

性行為など倫理的に避けられるテーマをむしろ強調するような作品を制作し、当時裸体や性を描くこと自体は問題視される傾向が減りつつありましたが、彼の描く表現は非常に過激だと世間には受け取られていました。

それにもめげず、かれは新作をどんどん発表していきます。

出典http://blog.livedoor.jp/kokinora/archives/1016576530.html

出典http://blog.livedoor.jp/kokinora/archives/1016576530.html

 

運命のミューズ、ヴァリとの出会い

ゲルティとの関係が生きずまりになったときに出会ったのが、金髪の青い目を持つ少女ヴァリ(17歳)でした。

彼女は以降紹介する映画「エゴン・シーレ 死と乙女」では、クリムトからモデルとして紹介されていますが、一説では彼が街で声をかけて出会ったという説もあります。

というのも、妹ゲルティとの関係がぎくしゃくしだしたころから街や家の前で女性に声を掛けアトリエに誘い込んでいたそうな、、もちろんモデルとしてでしょうが…

そして、その後シーレはヴァリと同姓を始めます。

出典http://blog.livedoor.jp/kokinora/archives/1016576530.html

出典http://blog.livedoor.jp/kokinora/archives/1016576530.html

 

ヴァリと同棲しても少女に声を掛けアトリエに誘うという行為は止まず、ついに14歳の少女と一晩明かしたとして逮捕されます。

さらに家から女性の裸の絵(=猥褻な絵)が見つかり、24日間牢屋に入れられます。

彼は無罪を主張しましたが通らず、裁判官の一人は彼の目の前で作品を燃やすという挑発的な行為をしたと言われています。まだまだ、性=タブーな時代だったのです。 

モテモテのシーレ

1914年、ヴァリと同棲して3年経った頃、シーレのご近所のアデーレエディトという姉妹がシーレに恋をしました。姉妹が裕福であったため、シーレはあっさりヴァリを捨て妹のエディトと結婚します。

シーレはその後、捨てたヴァリに今後も密会しようと手紙を送っています。さらに、姉のアデーレとも肉体関係を継続していました。

以下 妻エディト

出典http://blog.livedoor.jp/kokinora/archives/1016576530.html

出典http://blog.livedoor.jp/kokinora/archives/1016576530.html

出典http://blog.livedoor.jp/kokinora/archives/1016576530.html

出典http://blog.livedoor.jp/kokinora/archives/1016576530.html

1918年、流行したスペイン風邪により、妊娠したエディトが死去、さらに3日後にシーレもスペイン風邪で28年間という短い人生に幕を下ろしました。

大きな展覧会に出展し、画家人生が始まった矢先のことです。

 

そして、そのモテモテ時代に書かれた作品が『死と乙女』

出展https://oriver.style/cinema/egon-schiele-review/

出展https://oriver.style/cinema/egon-schiele-review/

 

これは死神として描いたシーレに、かつて愛し合ったヴァリがすがりつく構図になっています。

プラトンによれば、エロスとは神(善と悪を持つ)でなく、死でもない。その中間であるという。

シーレがすがりつかれていたのか、それとも…。劇中にも同じ構図のシーンが登場します。彼のこの絵を描いた思いがわかるかもしれません

 

出展http://egonschiele-movie.com/about.php

出展http://egonschiele-movie.com/about.php

 

 

 

「絵が描けなければ生きている意味がない」

「常に自分は仕事をしている」そう言う通り、シーレはいつどんな状態にいても絵を描いています

“美しい飛行機を作りたいんだ”、“美しくなければ意味がない”、宮崎駿監督作「風立ちぬ」の堀越二郎や「ハウルの動く城」のハウルがこのように述べていますが、シーレ目の前の美しいものをただただ描こうとしていただけなのかもしれません。

出典http://blog.livedoor.jp/kokinora/archives/1016576530.html

出典http://blog.livedoor.jp/kokinora/archives/1016576530.html

 

 

 


脚本・監督を務めたディーター・ベルナーは、

画家の映画を作るとき、「そもそも描くとはどういうことだろう。 描くことにどんな意味があるのだろう」という疑問が生まれると言う。

以下監督コメント引用

 

彼はそれまでにない表情豊かなポーズを作り上げました。肉体を語るための表現手段として、シーレは肉体を使ったのです。

肉体だけで人間について何が語れるのでしょうか。

監督として彼は自分に問いかけます。表情豊かなポーズとはどんなだろう、視覚的に面白い瞬間とはどんなだろう。

彼の絵の 構成は細部まで考え尽くされていて、決して描きながしたものはありません。それが見るということであり、私たちがこの映画でも伝えたかったことなのです。

出典 エゴン・シーレ「死と乙女」公式HP

 

この映画で、“観る”ことではなく“見る”ことができれば、シーレが描きたかったものが見えてくるかもしれませんね。

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