2017/07/10
アート/Art

この夏はアラーキーで決まり!天才・荒木経惟特集

この夏はアラーキーで決まり!天才荒木経惟特集

天才、奇才と呼ばれる写真家・荒木経惟77歳となる今年も15以上の個展を行っています。

そして、この夏に東京各所で大規模な展示を展開しています。そんな、今もなお精力的な天才アラーキーを今回は取り上げていきます。

 

『アラーキー』誕生

1940年   東京市下谷区(現東京都台東区)三ノ輪生まれ。

1963年 千葉大学工学部写真印刷工学科を卒業後、電通に宣伝用カメラマンとして就職。

1964年 写真集「さっちん」にて、第1回太陽賞受賞。荒木の名を世に知らしめるきっかけとなります。

1971年 同じく電通に勤務していた青木陽子と結婚。

    陽子との新婚旅行を写した『センチメンタルな旅』を限定1000部で自費出版

1972年 電通を退社。フリーになる。

1990年 「写真論」「東京物語」にて第2回写真の会賞受賞

1992年 「空景/近景」にて第4回写真の会賞受賞

1999年 織部賞を受賞

2008年  オーストリアより科学芸術勲章を受賞

2011年  安吾賞を受賞

2013年 毎日芸術賞特別賞を受賞

 

以降、妖艶な花々、緊縛ヌード、空景、食事、東京の街、飼い猫、様々な被写体から強烈なエロスとタナトスが漂う独特の写真世界を確立し、内外で高い評価を受けています

1960年代から今日まで第一線で活躍を続け、日本を代表する写真家の一人です。

 

 

『センチメンタルな旅』

1971年から妻・陽子との新婚旅行を写した『センチメンタルな旅』

限定1000部で自費出版したため、現在では希少となったオリジナル版は古書市場で高値で取引されるほど希少価値が高い代物なのです。

彼の妻、陽子との結婚式から、新婚旅行で行った京都、福岡(柳川)を撮った写真で構成されています。

 

その後も続編が続き、それは妻・陽子が亡くなるまで続きます。

  • 「続 センチメンタルな旅 沖縄」
  • 「10年目の『センチメンタルな旅』」
  • 「センチメンタルな旅・冬の旅」

 

「センチメンタルな旅・冬の旅」

1990年1月、陽子が子宮肉腫のため他界するまでの数ヶ月彼女を撮り続け、1991年2月新潮社から「センチメンタルな旅・冬の旅」として出版されます。

前半を「センチメンタルな旅」から再編集し、後半は「冬の旅」として彼女を失うまでの心の旅を描いています。

「私写真」の中で、最も身近な者の「死」を扱った作品ですが、そのは虚構に縁どられ、まるで遺影のように収められています。

後半部分に収められている、棺の中で眠る妻・陽子さんの写真には、これがもとで長く絶縁状態になった篠山紀信も然り、みるものに大きく影響を与えた作品となっています。

 

ところで、アラーキーの特徴の一つが、なんと言ってもその写真集の主版部数です!

彼は2017年現在で約500部冊以上を出版しているのです。

 

出典

出典「人妻ノ写真」

出典

出典「愛ノ時間」

出典

出典「東京ブルース1977」

 

それでは、現在都内で開催中・予定の展示を紹介していきます。

 

東京墓情
荒木経惟×ギメ東洋美術館

2016年に東洋美術専門の美術館としてヨーロッパ最大規模のフランス国立ギメ東洋美術館(パリ)で大規模個展「ARAKI」を開催、大きな注目を集めました。

この展示では、ギメ東洋美術館で発表した回顧的撮り下ろし新作「東京墓情」シリーズを日本で初公開しています。

同シリーズは荒木が「死」への意識を抱きながら、自らの写真家人生を振り返るものとして制作されたといいます。また今回は、ギメ東洋美術館コレクションのなかから、荒木自身がセレクトした幕末・明治期の写真をあわせて展示してあり、本展のための撮り下ろし新作も発表されています。

 

 

東京墓情
荒木経惟×ギメ東洋美術館

会場:シャネル・ネクサス・ホール
住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4階
開館時間:12:00~20:00
休館日:無休
入館料:無料 

HP:http://chanelnexushall.jp/

 

 

荒木経惟 写狂老人A

 

写狂老人A」のタイトルは、老境に入り一層精力的に制作を続けた江戸時代の絵師・葛飾北斎70代半ばで「画狂老人卍」と号したことになぞらえ、荒木自身を表しています

 

2017年現在、既に500冊を超える写真集を上梓している荒木は、そのテーマや手法が多岐にわたることでも知られますが、近年、自らの「死」に直面するような数々の体験を経て、「生」を見つめる眼差しは鋭さと深みを増し、長年の重要なテーマである「生と死」がより鮮明に表現されています。

荒木経惟の「現在」と、今まで取り上げてきた「死」を表現した作品、1000点を中心に展示しています。

アラーキー好きは必見の展示です。

 

 

荒木経惟 写狂老人A

会期:2017年7月8日〜9月3日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話番号:03-5777-8600
開館時間:11:00〜19:00 (金土〜20:00)※最終入場は閉館30分前まで
休館日:月(祝日の場合翌火曜日)、8月6日
 
 
 

「荒木経惟 センチメンタルな 旅 1971– 2017–」展

 
この展示は先ほど紹介した「センチメンタルな旅」の大規模展覧会です。
 
荒木自らが「陽子によって写真家になった」と語るほど彼の写真家としての原点である妻・「陽子」をテーマに、1960年代の出会いから1990年代のその死に至るまで、陽子はもっとも重要な被写体であり、死後もなお荒木の写真に多大なる 影響を与え続けています。
 
「センチメンタルな旅」の写真は、なんとも不思議な情感を漂わせている。そもそもこの旅は新婚旅行であるので、決してセンチメンタルではないはずであり、そうしたくないと思うものです。
 
しかし、新婚旅行のはずなのに、新婦である陽子さんの楽しそうな笑顔は一枚も写っていません。どこか「物思いに沈んだ表情」の陽子が”単々と”描写されています。
 
夜のSEX場面の描写は、すでにこの時点で陽子さんの黄泉の国での出来事を写真にしていたのか、と荒木もあとからそう振り返るような、死の館であるこの旅館の中での、生への再生の儀式のような写真で新婚ラブラブ!のような浮かれたものは感じられません。
 
そこには淡々と過ぎる日常が描写されています。
 
 
このように、陽子を被写体とするものや、その存在を色濃く感じさせる多様な作品を通して、荒木が重要視している被写体との関係性を探り、またその写真 の神髄である「私写真」について考えさせられる展示となっています。
 

 

「荒木経惟 センチメンタルな 旅 1971– 2017–」展

会期:2017年7月25日(火)~9月24日(日)
会場:東京都写真美術館
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
開館時間:10:00~18:00(木・金曜は20時まで) ※入館は閉館時間の30分前まで
   ※7月20日(木)~8月25日(金)の木・金曜は21時まで開館
休館日:月(祝日の場合翌火曜日、ただし9月18日(月・祝)は開館し、19日(火)は休館)
 

 

 

 

 

 

まとめ

いかがでしたか?

現在都内では2つの展覧会を、そして今月末にはもう1つ大規模な展覧会を予定している天才写真家・荒木経惟でした。今年で77歳を迎える彼は、次のようなコメントを残しています。

 

今は年寄りの時代なんだからさ、今どき、「年寄りに見られたくなく」なんて加齢に抵抗するヤツはダメなワケ。今こそ“老いていく”というその変化を、自信を持って発表していくべきなんだよ。年を取らなきゃわからないことってたくさんあるし、人間としてキャリアを積んでんだから、若いヤツより老人のほうが魅力があって当然(笑)。                       

                                        荒木経惟 

引用

 

彼が今もなお現役でフィルムをきる理由がわかりますよね。

荒木が捉えた「死と生」を実際にご自身の目で、ぜひご覧になってください。

また、東京オペラシティ アートギャラリー「荒木経惟 写狂老人A」(7/8 – 9/3)の入場券を、東京都写真美術館の「センチメンタルな旅1971– 2017–」展で提出すると、団体料金となるお得な割引があります!(もちろん、逆のパターンも大丈夫です)

この夏はパワフルなアラーキーの作品に触れて暑さをやっつけましょう!

 

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