クロッキー
croquis
クロッキーとは速写(速写画)とも言い、対象を素早く描画すること、またはそうして描かれた絵のことを指します。特に10分程度の短時間で描かれたものを言い、動物や人体など動きのあるものを素早く捉える訓練や、完成作品へ昇華させるための習作として行われます。イメージとしてはスポーツの基礎練習やウォーミングアップのようなものです。瞬時に対象の特徴を捉えようとすることで、少ない情報量やシンプルな線で情報を伝達する力を養うことができます。また限られた時間で描くことで、余計な情報を削ぎ落して対象を構成する重要な要素だけを抽出することになるので、物の本質を的確に捉える練習になります。クロッキーを行うには特別な用具は必要ありません。紙と鉛筆さえあればよく、チラシの裏やコピー紙、使いかけのノートなどを利用してもいいのです。ポイントは消しゴムを使わないこと。じっくり描いては消し、描いては消しを繰り返すのではなく、素早く対象の形を捉えて気持ち良く線を引きます。デッサンのように明暗や質感などの細部を追うのではなく、対象の一番印象的な部分をおおまかにざっくりと捉えます。失敗したら新しく描く、一度描いたら消せないという緊張感と共に手を動かすことが、形を捉えるトレーニングになります。ファッションスナップを元にしたり、お気に入りの小物や身近な友人を描いたり、映像を一時停止してアクションシーンなどを描き留めるのもいい勉強になります。