ネオ・ダダ
Neo-Dada
ネオ・ダダは1950年代後半から60年代にかけてニューヨークを中心に発生した前衛芸術運動で、作品制作の方法論や意図が初期のダダイスムと類似点を持つためこう呼ばれます。後のポップ・アートの先駆けとなり、「プロト・ポップ」と呼ばれることもあります。代表的な作家はロバート・ラウシェンバーグとジャスパー・ジョーンズで、印刷物、日用品、廃材など大量消費社会や俗悪さを象徴する素材を使ったコラージュや、レディ・メイドを応用した作品を発表しました。1950年代の美術の世界はジャクソン・ポロックを中心とした抽象表現主義が全盛をきわめていましたが、彼らは抽象表現主義に影響を受けながらも、レディ・メイド製品の利用や立体のコラージュである「アッサンブラージュ」などの手法を融合させ、新しい表現スタイルを打ち出しました。生活/芸術、非芸術/芸術の境界を取り払う彼らの「反芸術」的傾向は、ポップ・アートやヌーヴォー・レアリスム、ファンク・アートなどの動向とも呼応するものです。またその活動の「実験的」な性格は作曲家J・ケージの思考の影響も受けており、偶然性の導入や不確定的要素の介入、ミクスト・メディアの使用や他ジャンルとのコラボレーションなどが展開されていきます。日本でも1960年に荒川修作、吉村益信、篠原有司男、風倉省作、赤瀬川原平らが「ネオ・ダダ・オルガナイザーズ」という名前でグループ出品するなどの影響を受け、60年代アングラカルチャーや廃品などをオブジェ化するジャンク・アートなどもネオ・ダダから起こりました。ネオ・ダダはまた、ハプニングやパフォーマンスという形式を用いて反社会的意図の表現へと展開されていきます。当時の有名なネオ・ダダのハプニングアーティストが、草間彌生です。