安藤忠雄
Tadao Ando
1941年-
国籍
日本
アーティスト解説
安藤忠雄は日本を代表する建築家のひとりです。2012年には東京オリンピックのための新国立競技場国際デザイン・コンクールで審査委員長を務めました。その報道で名前を知った人も多いことでしょう。1941年大阪に生まれ、インテリアや木工家具の製作の傍ら独学で建築を学び、建築士の資格を取りました。1976年、長屋の1戸を改築した住宅「住吉の長屋」を発表し、打ちっ放しのコンクリートによる禁欲的なデザインや計算された光の効果で、高い評価を得ます。以来、ポスト・モダニズムの風潮とは一線を画す存在として世界的に知られることになるのです。安藤忠雄の建築の原点はここにあります。発表以降、安藤は商業施設や寺院・教会の設計を相次いで行っていきますが、シンプルな造形や光や風といった自然との共生が、その作品には息づいています。1989年にはベネッセによる「直島プロジェクト」に参画。直島国際キャンプ場の監修は1992年のベネッセハウス、1999年の「家プロジェクト」へと続きます。人間とアート、場所の自然風土と対話を重ね、環境と一体化し場所の個性を際立たせるような建築プロセスが丹念に行われます。さらに安藤の活動は、建築という枠組みを超えて広がりを見せていきます。地元大阪でのまちづくり活動、「瀬戸内オリーブ基金」の設立など環境再生運動など近年の取り組みは、自然・歴史・社会を不可分のものとし、過去から現代、未来へと場に新たな命を吹き込んでいく営みと言えるでしょう。安藤忠雄が稀代の建築家と呼ばれる理由のひとつは、その広く深い眼差しにあります。
経歴
1941年 大阪に生まれる。
1969年 安藤忠雄建築研究所を設立。
1979年 「住吉の長屋」で日本建築学会賞受賞。
1987年 米イェール大学客員教授に就任。
1988年 米コロンビア大学客員教授に就任。
1989年 米ハーバード大学客員教授に就任。
1993年 日本芸術院賞受賞。
1995年 プリツカー賞受賞。
1997年 東京大学工学部建築学科教授に就任。
2002年 米南カリフォルニア大学客員教授に就任。
2003年 東京大学を定年退官、名誉教授となる。文化功労者に選ばれる。
2005年 国際建築家連合(UIA) ゴールドメダル獲得。東京大学特別栄誉教授の称号を得る。
2010年 ジョン・F・ケネディーセンター芸術金賞、後藤新平賞を受賞、文化勲章受章。
2012年 新国立競技場国際デザイン・コンクール審査委員長に就任。
2013年 フランス芸術文化勲章(コマンドゥール)受章。
2015年 イタリア共和国功労勲章グランデ・ウフィチャ―レ章受章。
2016年 イサム・ノグチ賞受賞。