伊東豊雄
Toyoo Ito
1941年-
国籍
日本
アーティスト解説
伊東豊雄は、そのキャリアの初期から一貫して、都市空間と人間、建築の関係を見つめてきた建築家です。1970年代の伊東は、トンネルのような「White U」に代表される内向的で閉じた構造の住宅を数多く発表しました。しかし1980年代に入ると伊東作品は外界の都市空間に開いた空間を追求していくようになります。自邸「シルバーハット」の軽やかなアーチ屋根の連なりやパンチングメタルに覆われた「横浜の風の塔」、遊牧民のテントに着想を得た「レストラン・ノマド」の浮遊感などに、その方向性が表れています。「東京遊牧少女の包(パオ)」では、さらに開放化し流動化した建築として、周囲を覆う薄い膜のみとなり一大消費都市・東京を浮遊する「家」が表現されました。1990年代には公共施設を手掛けるようになり、透明・半透明のガラスや楕円形のフォルムを特徴とした施設を設計します。2001年には、情報化の時代における現代都市の建築のプロトタイプとして「せんだいメディアテーク」を発表。曲線形状の柱を網目状に配置し薄いプレートの床とガラススキンで構成したその作品は、高い評価を集めることとなり、日本芸術院賞、王立英国建築家協会のロイヤルゴールドメダル、高松宮殿下記念世界文化賞、グッドデザイン賞など国内外の賞を総なめにしました。都市と人間のあり方を見つめてきた伊東豊雄の建築は、東日本大震災を機に「人と人のつながり」「コミュニティの回復」を強く意識するようになります。被災地コミュニティの共同リビングルームとも言うべき「みんなの家」を建設するプロジェクトが、2011年からスタート。仙台や釜石、陸前高田などを皮切りに、東北に静かに広まりつつあります。
経歴
1965年 韓国ソウルに生まれる。
1965年 東京大学工学部建築学科卒業。
1965年 菊竹清訓建築設計事務所に入所。
1971年 株式会社アーバンロボット(URBOT)設立、代表取締役に就任。
1979年 事務所名を株式会社伊東豊雄建築設計事務所に改称。
1986年 自邸の「シルバーハット」で日本建築学会賞作品賞受賞。
1989年 「サッポロビール北海道ゲストハウス」で村野藤吾賞受賞。
1992年 「八代市立博物館 」で毎日芸術賞受賞。
1997年 「大館樹海ドーム」で芸術選奨文部大臣賞、日本芸術院賞受賞。
2000年 国際建築アカデミー(IAA)アカデミシアン賞、アメリカ芸術文化アカデミーアーノルドW.ブルーナー賞受賞。
2001年 「せんだいメディアテーク」でグッドデザイン大賞受賞。
2002年 ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞受賞。
2003年 「せんだいメディアテーク」で日本建築学会賞作品賞受賞。
2006年 王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル受賞。「せんだいメディアテーク」で公共建築賞、国土交通大臣表彰。
2009年 マドリード美術協会(CBA)金メダル受賞。
2010年 2009年度朝日賞、第22回高松宮殿下記念世界文化賞受賞。
2013年 プリツカー建築賞受賞。
2017年 UIAゴールドメダル受賞。
2018年 文化功労者に選ばれる。