藤本壮介
Sosuke Fujimoto
1971年-
国籍
日本
アーティスト解説
藤本壮介は北海道出身の建築家です。父親は精神科医でしたが、美術の道に進むことも考えたほど絵を好む人で、藤本は美術書や創作活動が身近にある環境で育ちました。小学生の頃、父親の本棚にあったアントニ・ガウディの写真集を見て衝撃を受けたと言います。成長して藤本は建築の道に進み、建築家としての初めての仕事は、実家である精神病院の作業療法棟の設計でした。その後も藤本は、「伊達の援護寮」「情緒障害児短期治療施設」など、北海道の地に心に負担を抱えた人たちの生活する施設をいくつも手掛けています。それらの建築の特徴は、ランダムで偶発的に無秩序に寄せ集められたような構造の中に、時に接近したり時に離れたり変化しつつゆるく繋がり合う、複雑で豊かな営みがあること。「情緒障害児短期治療施設」の際は、繋がりつつもちょっと逃げ込めるくぼみをたくさん備えたような、「隠れられる場所」というものがひとつのキーワードだったと言います。無秩序の秩序による居心地のよさ、落ち着きは、藤本の建築に共通する志向性です。藤本はそのほか、青森県立美術館のコンペや武蔵野美術大学図書館のプロポーザル、「T House」設計や「Tokyo Apartment」プロジェクトなど一般の住宅も手掛けています。一連の仕事は、環境と人間の営みがひとつの生態系を形成し、建築という控えめな枠組みの中で流動的に変化する新しい秩序が立ち上がる、新しくも根源的な感覚に支えられています。2011年にコンペで最優秀賞を獲得した「台湾タワー」は、藤本のそれまでの仕事にはなかった高さ300mに達する巨大建築。場所と人々の営みとの関係をさらに大きなスケールに広げる、藤本の新しいステージが始まっていくことでしょう。
経歴
1971年 北海道に生まれる。
1994年 東京大学工学部建築学科卒業。
1995年 「S病院作業法棟」でSD REVIEW 1995 入選。
1997年 「D-HOSPITAL」でSD REVIEW 1997 SD賞受賞。
2000年 藤本壮介建築設計事務所設立。「M Hospital Day-care House」でSD REVIEW 2000 槇賞受賞、 青森県立美術館設計競技2位入賞。
2004年 「伊達の援護寮」で日本建築家協会JIA新人賞、北海道赤レンガ建築賞奨励賞受賞。
2005年 「伊達の援護寮」「T house」でAR AWARDS 2005 受賞。
2006年 「7/2 house」でAR AWARDS 2006 優秀賞、「情緒障害児短期治療施設」でAR AWARDS 2006 大賞受賞。
2008年 「情緒障害児短期治療施設」で第1回日本建築大賞受賞。
2009年 東京大学特任准教授に就任。
2011年 「ベトンハラウォーターフロントセンター」「台湾タワー」で国際設計競技最優秀賞受賞。
2012年 第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展において「日本館」が金獅子賞受賞。