永井一正
Kazumasa Nagai
1929年-
国籍
日本
アーティスト解説
永井一正は、戦後のデザイン創成期から半世紀以上にわたって最前線で活躍した、日本のグラフィックデザイン界の重鎮です。日本の広告デザインの発展と質的水準の向上を図る目的で、1959年、当時の最高水準のクリエイターを結集して「日本デザインセンター」が創設されましたが、その創立メンバーとして参加、現在は最高顧問の地位に就いています。永井は東京藝術大学彫刻科中退。その後大和紡績に入社、宣伝を担当してグラフィックデザイナーとして仕事をしました。1953年にグラフィックデザイナーの登竜門だった日本宣伝美術会の会員になり、日本デザインセンター参加に至ります。デザインセンター創設当初の60年代から70年代にかけては、東京オリンピックや大阪で開催された日本万国博覧会など大規模なイベントが立て続けに開催され、日本中が湧いた時期でした。グラフィックデザイナーたちはポスターやマークのコンペを競い、新しいデザインを生み出していきます。札幌冬季オリンピックでは、日の丸、雪の結晶、五輪のマークを自由に組み合わせて使用する、新感覚の永井のデザインが採用されました。その後も「アサヒビール」など企業のシンボルマークを担当するほか、永井の手掛けたポスターデザインは現在までに1,000点を超えます。表現形態や手法は、幾何学模様を駆使したものから写真を使った壮大な作品、レリーフ版画など8回もの変化を重ねてきました。1987年のポスター「JAPAN」からは、それまでの抽象からフリーハンドによる具象に180度転換し、有機的な線や点描によって生命力溢れる表現を追求しています。生涯をデザイナーとして熱く貪欲に進み続ける永井の姿が、そこにあります。
経歴
1929年 大阪市に生まれる。
1951年 東京藝術大学彫刻科中退。大和紡績に入社、宣伝を担当しグラフィックデザイナーとして仕事をする。
1960年 日本デザインセンター創立に亀倉雄策らとともに参加する。
1962年 東京ADCで銀賞・銅賞受賞。
1966年 第2回亀倉雄策賞、朝日広告賞、第1回ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ金賞など受賞。札幌冬季五輪のシンボルマーク(エンブレム)に採用される。
1968年 第6回東京国際版画ビエンナーレ東京国立近代美術館賞受賞。
1985年 第11回ブルノ国際グラフィックビエンナーレグランプリ受賞。
1988年 芸術選奨文部大臣賞受賞。
1989年 紫綬褒章受章。
1992年 第1回モスクワ国際ポスタートリエンナーレグランプリ受賞。
1994年 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)会長に就任。
1999年 勲四等旭日小綬章受章。
2016年 富山県美術館アート&デザインのシンボルマークを手掛ける。