フランク・ゲーリー
Frank O. Gehry
1929年-
国籍
アメリカ
アーティスト解説
フランク・ゲーリーは、現代アメリカを代表する最もセンセーショナルな建築家のひとりです。斬新で明快、自由奔放で奇抜なアイディアに満ち、遊び心とユーモアのある作品で、建築界に新風を吹き込んできました。その建築アプローチは、直感的かつ即興的で、彫刻的であるとさえ言われます。ゲーリーが建築界に鮮烈にデビューしたのは、自身の居宅である「ゲーリー自邸」です。波形トタン板や金網などローコストの工業用材を用いてリノベーションを行い、完結した形態を排除した破壊的イメージのこの住宅は、1980年代後半に現れるディコンストラクティヴィズム(脱構築主義)のさきがけとなりました。同じ時期に設計した「サンタモニカ・プレイス」での金網の大胆な使い方は、現在では普遍的に見ることのできるパンチング・メタルの元祖とも言えます。最近の作品に、スペイン・ビルバオの「グッゲンハイム美術館」があります。フランク・ロイド・ライトの名作であるニューヨークのグッゲンハイム美術館と姉妹館のこの建物は、シルバーに輝くチタニウムの外壁に覆われた渦巻くような躍動感のある造形で、世界中から「20世紀の傑作」と称賛を集めました。その一方で、地元のバスク人芸術家からは、バスク芸術の伝統を侮辱するという激しい批判も起こっています。2003年に完成した「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」は、「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」のさらに先を行く躍動感と流動感を備えたフォルム。その音響機能と共に、次世代のコンサートホールとして愛されています。ゲーリーはソフトウェア技術にも精通し、モデリングと構造解析、部材の数値や量の計算まで、先端技術を駆使して行います。今後の創造がどこへ向かうのか、目の離せない建築家のひとりと言えそうです。
経歴
1929年 カナダ・トロントに生まれる。
1949年 南カリフォルニア州立大学芸術学部に入学、後に建築に転科。
1953年 ビクター・グルーエン事務所に入所。
1956年 ハーバード大学で都市設計を学ぶ。
1957年 ヒデオ・ササキ事務所、アンドレ・ルモンド事務所などに勤務。
1962年 フランク・O・ ゲーリー・アソシエイツ事務所設立。
1972年 南カリフォルニア大学助教授に就任。
1976年 ライス大学客員教授に就任。
1977年 南カリフォルニア州立大学客員教授に就任。
1978年 安価な材料で既成概念を打ち破るデザインを実現したリノベーション「ゲーリー自邸」で注目を集める。
1983年 ハーバード大学客員教授に就任。
1984年 ハーバード大学エリオット・ノイズ講座を主宰。
1989年 プリツカー賞受賞。
1992年 高松宮殿下記念世界文化賞・建築部門受賞、ウォルフ賞受賞。
1997年 グッゲンハイム美術館(スペイン、ビルバオ)を設計。
1999年 アメリカ建築家協会(AIA)ゴールドメダル獲得。
2000年 英国王立建築家協会(RIBA) ゴールドメダル獲得。
2003年 設計を担当した「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」が完成。