道路と土手と塀(切通之写生)
Road Cut through a Hill
岸田劉生
作品解説
「道路と土手と塀(切通之写生)」は岸田劉生の代表作で、国の重要文化財にも指定されています。岸田劉生の初期の作品には、セザンヌを始めとした印象派の影響を受けた作風が見られますが、のちにルネサンスの写実主義に魅入られ、特にバロック絵画の巨匠、デューラーの影響を強く受けている作風へと変化しました。この作品は、地面の土の質感や小さな石ころ、草一本にいたるまで細密な写実で描かれており、劉生の作風の変化と几帳面な性格がうかがえます。さらに、もともとは印象派の作風を構築していた様子も感じられ、一般的な写実主義の作品とは一味ちがう、劉生が自身の日記で「クラシツク形式」と呼んでいる、印象派特有の情感がにじみ出ています。
制作年
1915年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
東京・渋谷