カール・ヨハン通りの夕べ

Evening on Karl Johan Street

エドヴァルド・ムンク

作品解説
カール・ヨハン街を描いたムンクの作品は幾つか存在しますが、この「カール・ヨハン街の夕べ」は、ムンクの絵の最大の特徴とも言える不安感や恐怖が前面に表れた作品です。1889年の「カール・ヨハン街の軍楽隊」、1891年の「春の日のカール・ヨハン街」はそれぞれ、マネやスーラのといった印象派や後期印象派の影響が色濃く出たものでした。この「カール・ヨハン街の夕べ」に至り、ムンク独特の精神性が強く立ち現れてくるのです。描かれた人々の表情は、不気味なほど感情を欠いたものです。感情に欠けているからこそ、どの顔にも表情がなく、みな同じようなものに見えてきます。群像とは反対の方向に歩いてゆく孤独な男の後姿は、ムンク自身の自画像だと言われています。大衆の無関心さとそれに抱くムンクの不安と嫌悪、それがこの夕暮れの暗い街を舞台に、表現されているのです。
制作年
1892年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
ドイツ
所蔵美術館
    ベルゲン美術館
ジャンル