静物画

Still life
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静物画(せいぶつが)は西洋画のジャンルのひとつで、切り花や果物、器(うつわ)といった、それ自体は動かないものを卓上に自由に配置して描いた絵のことです。風景画や人物画と異なり、描く対象を画家が自由に構成できるのが大きな特徴です。
静物画が絵画のひとつのジャンルとして確立したのは17世紀のオランダですが、ほぼ同時に、イタリア、スペイン、ベルギー、フランスでも主流の絵画となっています。
静物画が急速に描かれるようになった背景には、それまでの西洋画に大きなウェイトを締めていた宗教画の需要が減ったことや、静物画の題材は身近にあり、鑑賞画に適していたことなどが挙げられます。
けれど、静物画の地位を確立させたのは、19世紀の印象派の画家、セザンヌの作品によるところが大きいでしょう。

セザンヌ以前にも静物画の名画は数多く描かれていますが、当時は静物画の地位や価値は決して高いものではありませんでした。静物画から派生したボデゴン(台所画)が新しいジャンルとして確立したほか、イタリアの画家、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョらが静物画の開拓と発展を目指しますが、現在ほどの地位には至らず、依然として「お手軽な絵画」という位置づけでした。
セザンヌ以前の静物画は「装飾画」の要素が強かったのに対し、セザンヌは静物をもちいて「空間と構成物のバランス」を深く追及しています。そのものの美しさより画面構成の美しさを重視する考え方は斬新で、のちにフォービスムやキュビスムの画家に大きな影響を与えました。
関連アーティスト
ヤン・ブリューゲル,カラヴァッジョ,アンリ・ファンタン=ラトゥール,オディロン・ルドン