オール・オーバー

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オール・オーヴァーは英語で「全面を覆う」という意味があり、絵画においてはキャンバスの表面全体を絵の具で均一に塗り込む手法を指して言います。
はじめはジャクソン・ポロックの「ドリッピング」に対してこの呼び名が用いられていたため、オール・オーヴァーといえばポロックの作品というイメージが定着していましたが、その後はサイ・トゥオンブリーなどほかの抽象表現主義の画家の作品に対してもオール・オーヴァーの呼び名が使われるようになりました。

ほぼ同じ時期に登場したカラー・フィールド・ペインティングによる作品もまた、オール・オーヴァーと呼ばれることがあります。
カラー・フィールド・ペインティングは、絵の中にラインや幾何学的な図形を描くことをせず、少ない色面だけで表現された絵画で、作品には視覚的な焦点や奥行きがないという点で、ポロックのドリッピングと同じ性質があります。

オール・オーヴァーは絵画から装飾性だけじゃなく「形」や「意図」さえ取り去った作品と言うことができ、絵画やアートに対する概念を塗り替えました。オール・オーヴァーの着想は、やがてミニマル・アートへと発展していきます。
関連アーティスト
ウィレム・デ・クーニング,クレメント・グリーンバーグ,クロード・モネ,ジャクソン・ポロック,ジャン・デュビュッフェ