贋作

Forgery

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贋作(がんさく)とはいわゆる「にせもの」のことで、アーティスト名や制作した年代を偽り、現存する作品や、実在したとされている作品をそのまま模倣した美術品のこと、「偽作(ぎさく)」ともいいます。
贋作は決して偶然に出来るものではありません。なぜなら、高価で希少なものをそっくりにまねて制作し、買い手をだまして販売する目的で作られているからです。
逆に言うと、贋作をつくった者は、それがにせものだとすぐには見破れないほどの技術を持っている人ということ。絵画の贋作は高い技術をもつ画家によって描かれ、陶磁器の贋作はやはり高い技術をもつ陶芸家によって制作されます。決して素人に出来る技ではなく、その意味で、贋作はある種のアートであり、ひとつの文化です。
贋作と似た形式に「模写」や「レプリカ」がありますが、これらが贋作として悪用されることはほとんどありません。贋作と模写では制作する目的がちがうため、制作するうえでの着眼点が異なるからです。

贋作の歴史はとても古く、最古の記録はローマ時代までさかのぼります。その内容は、ローマ人がギリシア彫刻の贋作を作っていたというもの。けれど、その数は決して多くはありませんでした。ルネサンス期にアートとしての絵画や版画が誕生したのに伴って、贋作の文化も大きく花開きます。
ルネサンス絵画のなかでもきわだって贋作の数が多いのが、レオナルド・ダ・ヴィンチ、レンブラント、ゴッホ。作品によっては、いまでも贋作かオリジナルかの判断が確定できないものもあるほどです。
ルーベンスもまた多くの贋作が出回っている画家のひとりですが、ルーベンスは大きな工房を構えて多くの弟子を抱えていたため、彼の弟子によって制作された贋作も数多くあります。

贋作の文化は日本や中国にも古くから存在します。やはりルーベンスと同じく多くの弟子を抱えていた雪舟や葛飾北斎の作品には、真贋の判定が困難なものが多数あるとされています。
日本人は真贋の区別を厳密にしたがらない習性があるため、贋作が流通しやすく、現在でも贋作による大きな事件がたびたび起きています。