ギリシア美術

Greek art
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ギリシア美術は、紀元前10世紀頃からローマに征服されるまでのほぼ9世紀にわたり、ギリシア本土およびバルカン半島・小アジア・南イタリアなど植民地諸地域に開花した美術のことです。調和・統一・均整による人間の理想美を追求するその主題と様式は、ローマに直接受け継がれ、ルネサンスに至ってヨーロッパ美術の「古典」として確固たる地位を確立することとなりました。ギリシア美術はその様式の違いから、①幾何学様式期②東方化様式期③アルカイック期④クラシック期⑤ヘレニズム期の5つの時代に区分されます。①②の時期はそれぞれ、陶器などに描かれた幾何学文様と、オリエントから伝播した東方的な装飾モチーフが特徴です。アルカイック期はギリシア的な特質を創造した最初の時代で、「アルカイック・スマイル」と呼ばれる特徴的な微笑を持つ彫像が制作されるようになりました。クラシック期はペルシア戦争で強敵ペルシアを撃退しアテネが最盛期を迎えた時代で、ギリシア美術の黄金期です。有名なパルテノン神殿が建てられた時代でもあります。この時代の大きな特徴は、直立不動の硬直した人体表現から動きのあるより自然な形の表現へと発展したことです。片方の脚に体重をかけ体全体でS字を描くこの表現は「コントラポスト」と呼ばれ、ルネサンス期の芸術家たちから理想的な人体表現とされました。続くヘレニズム期にはアレクサンドロス大王の東方遠征によってギリシア世界が拡大し、裕福な市民が生まれ、美術の世俗化と大衆化が顕著になります。この時代は特に彫刻に優れた作品が多く、「ラオコーン」「ミロのヴィーナス」などが制作されました。その造形は身体を極端にねじったダイナミックな動きと、多方面から見られることを意識した空間的な広がりを持ちます。やがてギリシア世界はローマの支配下に入って終わりを告げることとなりますが、このヘレニズム様式がローマ美術に継承されていくのです。