石版画

lithograph
https://i2.wp.com/media.thisisgallery.com/wp-content/uploads/2018/12/rhQRwpcRAYtkGm1wCjYYxAli172mq4HGYyoXR6eSVMsnFmuSnZO2RHxDC7Zz7vsb.jpeg?fit=930%2C1200&ssl=1
リトグラフは石版画とも言われ、平版と呼ばれるタイプの版画技法です。版画には出っ張った部分にインクを付ける凸版、溝を掘った部分にインクを流し込む凹版、穴を空けた部分からインクを流す孔版がありますが、平版に分類されるリトグラフでは、版も彫らなければ穴も空けません。リトグラフの印刷の仕組みは、平らな版面の上にインクをのせ、そこに紙を置いて圧を掛けます。版面には油性分を含んだ画材で絵を描き、描画終了後、薬品を塗ります。そうすると油性分を含んだ描画部分は油性分とくっつきやすくなり、それ以外の部分は水と結びつきやすくなります。版面に水を含ませながら油性分を含んだインクを版面にのせると、描画部分にはインクの油性分とくっついてインクがのり、それ以外の部分は水が油性分をはじいてインクがのらない状態になります。そこで版画に紙を置いてプレス機で圧を掛けると、紙に印刷されるという仕組みです。リトグラフは、水と油の反発する性質を利用する化学的な版画といえるのです。リトグラフの一番の特徴は、描画したものがそのまま版になり印刷されるということです。クレヨンや鉛筆タッチの線を表現したり、筆を使って水彩タッチや滲みなども出すことができるのです。また、版の工夫によって思いがけない効果を出すことができたり、版を複数使って多色刷りすることで、複雑な色合いを出すこともできます。1798年にドイツの A.ゼネフェルダーが発明し、特にフランスにおいて、ドラクロアをはじめドーミエ、ロートレックなどによる数々の名作が生まれました。現在ではリトグラフにはアルミ版を使うのが一般的です。そのほか特徴あるトーンを生み出すジンク版や木を使ったリトグラフの技法を使う作家もいます。木のリトグラフは油性材料で描画するほかに彫刻刀で彫りを入れたりして製版し、リトグラフの自由な描画と木版ならではの木目を生かした、面白い版材料です。
関連アーティスト
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック,エドヴァルド・ムンク,ピエール・ボナール,アルフォンス・ミュシャ,マルク・シャガール,マウリッツ・エッシャー,パブロ・ピカソ,ノーマン・ロックウェル