メソポタミア美術

Mesopotamian art
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メソポタミア美術は現在のイラク、古代メソポタミア地方の美術。最初の都市国家を建てたシュメール人によるシュメール美術、その後のバビロニア美術、アッシリア人の作り上げたアッシリア美術、新バビロニア時代の新バビロニア美術に分けられます。シュメール美術は神殿や墳墓などの壮麗な大建築、大理石や金箔、ラピスラズリ、貝殻などを使った装身具、調度品などの工芸品に代表され、「白い神殿」として知られるジッグラトや「ウルのスタンダード(軍旗)」と呼ばれる美術工芸品が有名です。続くバビロニア美術はシュメール美術を継承しました。ルーブル美術館所蔵の「ハムラビ法典碑」は高さ2メートル余の黒色玄武岩の一本石に3000行にわたる楔形文字を緊迫感ある高浮彫りで彫出したもの。その美的感覚と浮彫り技術は、シュメール美術を見事に受け継ぎ完成させたものと言えます。アッシリア美術は王の権勢と勇猛さを誇示し、独得の性格を作り上げています。宮殿建築がよく知られており、コルサバードのサルゴン2世の宮殿では、門や城壁に人頭有翼の霊獣類の丸彫りや浮彫りが、内部には王の戦勝や狩猟、饗宴の光景を記録するレリーフが銘文とともに飾られていました。「黒いオベリスク」「アッシリアのモナ・リザ」などの精巧な象牙細工、メソポタミア美術を代表する傑作「アッシュール・バニパルの獅子狩り」「黒人を食い殺す雌ライオン」などもこの時代のものです。新バビロニア時代の美術の中心をなすのは建築とその装飾。19~20世紀のバビロン発掘では、イシュタル門、行列道路、マルドゥク神殿跡、空中庭園や王座の間を含む宮殿跡、バベルの塔跡など、主としてネブカドネザル2世治下の遺品が発見されました。特に有名なものがイシュタル門や行列道路の壁面で、ベルリンのペルガモン美術館で復原され、獅子や竜などメソポタミア美術の特色をなす動物描写が、色鮮やかな彩釉れんがで華麗に蘇っています。