トロンプ・ルイユ

trompe l'oeil
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トロンプ・ルイユはフランス語で「眼をだます」という意味があり、「だまし絵」や「トリックアート」とも呼ばれています。
最近ではシュールレアリズムで用いられる技法として知られていますが、トロンプ・ルイユの歴史は古く、ギリシア絵画にもだまし絵の技法が見られます。
トロンプ・ルイユでは非常に細かい描写で見る人に錯覚を起こさせる工夫が絵画の中にこらされており、実際には存在しないものがあたかもそこに存在するかのような錯覚を感じさせます。

トロンプ・ルイユの代表的な例を挙げると、壁や床に実際にはそこに存在しない扉や窓を描き、その先に実在しない風景を描いた作品や、平面的な作品に物を貼り付けることで、絵の一部が飛び出して見える作品などがあります。
人体や果物などを寄せ集めて、ひとりの人型を表現した「寄せ絵」もまた、トロンプ・ルイユの一種。日本人アーティストでは、浮世絵師・歌川国芳の「寄せ絵」が世界的にも有名です。

トロンプ・ルイユは絵画に限らず建築の装飾においてもよく用いられる手法で、装飾なのか絵なのか、実際に手で触れるまで分からないほど精巧な作品もあります。
17世紀のイタリアでは、教会や宮殿の天井画の装飾にたびたびトロンプ・ルイユが用いられ、天井の上にさらにもう一つの神聖な空間があるかのように感じさせました。これらはもっとも大規模かつ華やかなトロンプ・ルイユの作品と言えるでしょう。