木彫

wood carving
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木彫(もくちょう)というのは木を素材とした木造彫刻の略語です。木材は世界的にみてももっとも一般的な彫刻用の素材ですが、特に日本の彫刻の大部分は木彫です。
日本における木彫の歴史は古く、時代に応じて用いる木材の種類も変化しました。飛鳥(あすか)時代の木彫にはおもにクスノキが用いられており、ほかにアカマツも使用されていましたが、平安時代に入るとヒノキが主流となり、伎楽(ぎがく)や舞楽(ぶがく)で使う面には重さが軽いキリが使われました。

木材は湿気や火に弱いので、石や金属などに比べると長期的な保存が難しいという難点はありますが、その反面、加工が容易で素人でも取り組みやすいというメリットもあります。
木彫につかう道具は、のみ、小刀(こがたな)、錐(きり)など。木彫はアートに限らず建築やインテリアの装飾にも用いられてきたため、使う道具も木彫とともに発達しました。

木彫はまず素材である「木」を選ぶことからはじまりますが、何を制作するかによって、その工程も工法も、使う道具さえもまったく異なる幅の広いアートです。
日本の近代アートを代表する彫刻家、高村光太郎もまた木材特有のやわらかい質感を好み、木彫による傑作を多数制作しています。
なお、素人などが趣味でおこなう木材を用いた制作は「木彫り(きぼり)」とよび、専門家や芸術家の「木彫」とは区別されています。
関連アーティスト
高村光太郎,船越桂,須田悦弘,三沢厚彦