TRY SOMETHING BETTER

2021年11月、Gallery COMMONは渋谷区神宮前のスペースに移転し、新たなスタートを切ることとなりました。 本ギャラリーのオープニングに合わせ河村康輔による個展「TRY SOMETHING BETTER」を2021年11月20日(土)から12月19日(日)まで開催いたします。 こけら落としとなる本展は、代表的な「シュレッダー・コラージュ」シリーズの黒と銀を基調とした新作をはじめ、マルチキャンバスの大作シリーズを発表いたします。 シュレッダー・コラージュの展示数としては過去最大となります。

1979年に広島で生まれ、高校卒業後に上京、東京のクリエイティブ・コミュニティに参加し、グラフィックデザイナーとして活動後、2000年代前半よりアーティストとしてキャリアをスタートした河村康輔。 adidas、G-shock、ユニクロ、ガンダム、エヴァンゲリオン、AKIRAなどとのコラボレーション、デザインの仕事と併せて、国内外で展覧会を開催、以来彼による独特なコラージュスタイルは文化発信地である原宿でも広く認知されるようになりました。

アート、グラフィックデザイン、ファッションの境界を曖昧にしながらも、カテゴリーをシームレスに行き来し、目まぐるしい文化の中に定義を超えて自身の活動を侵食させる河村。 「一般的に芸術的価値を見出されず、見過ごされるような素材を選び、光を当てることで、 新しい価値観を生み出したい。 そして、ライブ感を大切にしている。 それは影響を受けてきた音楽やカルチャー(70~90年代のパンクロック、ヒップホップ、スケートカルチャーなど)から学び、今の自分自身を形成してきた。」そう作家自身が話すように、彼の作品の核となるのは、身の回りのメディアに対する彼の「ライブ感」にあります。 彼は制作時に有名な写真や評価されているものはあえて避けて、旅行パンフレットやアダルト雑誌など、自然に日常で出会う芸術的価値の低いアナログメディアを集め、当初はPhotoshopやIllustratorを使って制作していたところを、現在は手やシュレッダーで裁断するアナログ的手法も多く取り入れています。 ビジュアルアートの錬金術とも例えられるそのスタイルは、常にその手法が持つポテンシャルの可能性を積極的に見出し続け、近年国内外から多大な注目を集めています。

本展覧会も同様に、主にアナログな手法で制作されたアートピースが並び、コラボレーションやコミッションワークで重視されるデジタルでの再現性とは対照的に、芸術作品ならではの立体感や独自性が強調されています。 彼のアナログ的な手法により生み出された作品は、表現に彫刻的な側面を与え、鑑賞者が作品や展示空間の物理的な存在を意識するように誘うでしょう。

そんな彼の制作プロセスには、ファッションやグラフィックデザインの循環的な性質という彼の表現の源泉を見て取ることができる一方、その絶え間ない変動の中でも自らのアイデンティティと関連性を維持する河村の能力は、デザイナーやコラボレーターとしてだけでなく、アーティストとしての強さを証明します。 進化が止まることを知らない原宿カルチャーと同様に、作家のライブ感を重視したスタイルにより生み出される作品群。 そこに見られる、まるで過去と現在、アナログとデジタルを柔軟に往来するかのように派生する表現の連鎖は、見る者の既存の印象に鮮明な変化をもたらします。 こうした彼の表現を垣間見る貴重なこの機会に是非足をお運び下さい。
(公式HPより）