真福八端-幸福なるかな、心の清き者
The Beatitudes - Blessed are the pure of heart
アルフォンス・ミュシャ
作品解説
アメリカのエヴリボディーズ・マガジンの依頼を受けて、1906年12月号の付録の1点として制作された作品です。「真福八端」は新約聖書マタイ福音書5章3節から12節に記される山上の垂訓の場面。イエスが弟子らと共に集まった群衆へ「心の清き者は福なり。彼等は神を見んとすればなり」と説いた幸福の説教を主題としています。画面中央から左側へかけて、ボヘミア的な民族衣装を身に着けたふたりの赤毛の少女が配置されています。手前の卵の入った小鳥の巣を両手に持つ少女は、目を閉じた顔の様子から盲目であることが窺えます。奥の少女は手前の少女に寄りかかるような抱きかかえるような格好で、柔らかな表情を浮かべながら小鳥の巣を除き込みます。少女らの表情や佇まいから、主題である「神を見る清らかな心」の幸福がしみじみと伝わってきます。この作品が手掛けられた1906年に、ミュシャはパリの美術学校の教え子でもあるチェコ人女性画家マルシュカ・ヒティロヴァと結婚しました。この作品は新婚旅行先で妻ヒティロヴァと共作的に制作しており、少女たちを取り巻く草木をモチーフとした装飾はヒティロヴァの手によるものです。
制作年
1906年
素材/技法
水彩・グワッシュ・紙
制作場所
チェコ(ボヘミア)