スラヴ叙事詩-原故郷のスラヴ民族

The Slave in their Original Homeland

アルフォンス・ミュシャ

作品解説
アール・ヌーヴォーの最も有名な画家アルフォンス・ミュシャが最後に手掛けたのは、スラブ民族の歴史と宗教、自身の故郷への思いを凝縮させた連作群「スラヴ叙事詩」です。チェコが社会主義国家を脱するとともに高く評価されるようになり、今日では「チェコの宝」としてミュシャの最高傑作の地位を確立しました。「スラヴ叙事詩」は全20枚から構成される巨大な油彩画群ですが、その最初の場面がこの「原故郷のスラヴ民族」です。1910年、故郷チェコへ帰郷した翌年から制作が開始されました。「原故郷のスラヴ民族」には紀元前3世紀~6世紀頃の農耕民族時代が描かれており、初期スラヴ民族が他民族との争いなどで大陸を移動していた苦節の時代を、スラヴ民族風の男女とアラブ風衣装の騎兵隊で表現しています。右側で両手を広げた人物は、スラヴ神話の治療神で戦の神ともされるスラヴ民族の守護神スヴァントヴィト。その左右の男女は平和と戦争の象徴です。夜空に輝く星とほの白い光がスラヴ民族の歴史の始まりを予感させます。夜空の青は、スラヴの原点を象徴する重要な意味を持つ色でもあります。
制作年
1911年
 
素材/技法
壁画 油彩・テンペラ・画布
 
制作場所
チェコ
 
所蔵美術館