吸血鬼

Vampire

エドヴァルド・ムンク

作品解説
この作品は一般的に「吸血鬼」と呼ばれることが多いですが、これはムンクの付けたタイトルではありません。ムンクが付けた当初のタイトルは「愛と苦悩」で、「吸血鬼」というタイトルは、ムンクの友人である詩人スタニスワフ・プシビシェフスキが付けたと言われています。画中では、真っ赤な髪の女性が男性に抱き付き、首筋にキスをしています。女性の赤髪は肌を伝い、まるで血のように男性を浸していきます。しかしムンク本人は、「男性の首筋にキスをする女性を描いた作品にすぎない」と述べています。美術研究者の間では、この女性は吸血鬼というよりもファム・ファタルであると解釈されることが主流です。ファム・ファタルとは、男性にとっての「運命の女」「破滅を招く女」のこと。ムンクが根源的に抱く女性への恐怖が、このような形をとって現れたのでしょう。
制作年
1895年
素材/技法
油彩
制作場所
ドイツ
所蔵美術館
ジャンル