煙草を持つ自画像
Self-Portrait with Cigarette
エドヴァルド・ムンク
作品解説
ムンク32歳の時の自画像です。正面に向けられたムンクの顔と手は目立つように強調され、下からライトで照らされているかのように輝いて見えます。心臓の位置で固定された右手は、自分自身を守るかのようです。画中のムンクは絵を観る者を見つめ返すような眼差しを向け、まるで絵の境界線を越えてこちらの世界と直接かかわってくるような臨場感があります。この絵が描かれる数年前、ムンクはスウェーデンの劇作家ストリンドベリを中心とするサークルに参加していました。ストリンドベリの神秘主義とオカルトへの関心、絵画に関する考え方は、ムンクに影響を与えたと考えられます。ストリンドベリは自分自身を、キャンパスに写し取られた姿と現実との媒介であると捉えていました。
制作年
1895年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
ノルウェー