自画像(ムンク)

Self-Portrait. Between the Clock and the Bed

エドヴァルド・ムンク

作品解説
77歳から取り組んだ最後の自画像が、この「自画像/時計とベッドの間」です。ムンクの晩年、ドイツでナチスが台頭すると、彼の作品は退廃芸術としてドイツ国内の美術館から一斉に外されることになりました。1940年ドイツがノルウェーに侵攻すると、元陸軍大臣ヴィドクン・クヴィスリングによる親ドイツのクヴィスリング政権が発足しましたが、ムンクは政権の懐柔に応じずアトリエに引きこもったといいます。この時期に、最後の「自画像」を含む3つの自画像が制作されました。1943年の暮れ、レジスタンスによる破壊工作のあおりを食って自宅の窓ガラスが破壊され、それがもとでムンクは気管支炎になります。年が明けてまもなく、ムンクは80歳で病没しました。ナチス・ドイツの降伏で戦争が終結したのは、それから1年少し経った1945年5月7日のことです。この最後の自画像には、老いたムンクが昂然と立つ姿が描かれます。この時ムンクはどんなことを考えていたのでしょうか。
制作年
1940年-1944年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
ノルウェー
所蔵美術館
ジャンル