浜辺のインゲル
Inger Sulla Spiaggia,
エドヴァルド・ムンク
作品解説
ノルウェーにおいて、初めて個展を開いた画家はムンクです。「浜辺のインゲル」はその時の展示作品のひとつです。1889年、カール・ヨハン通りの学生協会の小ホールで、「ハンス・イェーゲル像」「春」などと共に自作110点を展示しました。「浜辺のインゲル」は、写生的な描写で描かれた白いドレスの女性が印象的な一枚です。1889年にアスガードストランドという町で描いた作品で、モデルとなったインゲルは、ムンクの1番末の妹です。1884年にもムンクはインゲルの肖像画を描いていますが、その絵は19世紀の伝統的な肖像画の技法で描かれています。この「浜辺のインゲル」でムンクは、白いドレスとコケに覆われた石や背後に広がる海の緑や青を対比させることで寂しさ、憂愁、苦悩などの感情を描きました。ムンクの作風の転換を示すものです。
制作年
1889年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
ノルウェー