思春期
Puberty
エドヴァルド・ムンク
作品解説
1880年代後半から1890年代半ば頃、ムンクは思春期の憂鬱と性的成熟への不安を描く「思春期」シリーズを描き始めます。この作品は、石版画やエッチング、油彩など様々な形で制作された「思春期」の中のひとつです。油彩作品の「思春期」は一度火事で焼けてしまい、ムンクは再度この作品を制作しました。若い少女が裸のままベッドのそばに座る姿が描かれます。真っすぐ視線を向けてくる大きな目とアンバランスな肢体、壁に投影される不自然な形の影などは、少女の性的目覚めと身体的精神的変化、それによる不安と恐怖などを象徴的に表しています。描かれているのは少女ですが実はムンク自身であると言われ、彼の性に対する恐怖や女性と親密な関係を築くことへの恐怖などが投影されているとも考えられています。これら「思春期」シリーズは、その後ムンクが象徴派へとシフトしていく過程の基盤となりました。
制作年
1894-1895年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
ドイツ