月光

Moon Light

エドヴァルド・ムンク

作品解説
「愛」と「死」、それらによる「不安」を描いた一連の作品群「生命のフリーズ」の始まりとなった作品が、この「月光」です。この時期のムンクは、その生涯の中で特に精神不安定な状態にありました。この時期のムンクの作品は、結核で若くして亡くなった姉の死を描いた「病室での死」、精神分裂病に罹った妹ラウラ・カトリーネの姿を描いた「メランコリー」など、家族の不幸とその苦痛にフォーカスしています。弟ペーテル・アンドレアースが結婚後わずか6ヵ月後に亡くなったのもこの時期でした。「月光」のむしろ沈んだ静謐な色彩と筆づかいは、それらの悲しみの静かな予兆のようです。しかしまたこの時代に、ムンクは代表作「不安」「マドンナ」「女性の三段階」「吸血鬼」「月光」「星月夜」、そして最大傑作の「叫び」を制作したのでした。
制作年
1895年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
ドイツ
所蔵美術館
ジャンル