赤い蔦

Red Virginia Creeper

エドヴァルド・ムンク

作品解説
真っ赤な家と青ざめ怯える男性を描いた絵です。血を連想させる赤い家は、中央の灰色の突起は鼻、無数の窓は目と擬人化され、男性の脅威の対象として描かれます。男性は赤い家の脅威から逃れるため、家から伸びる曲がりくねった道を駆け下っているように見えます。当時ムンクは、トゥラ・ラーセンと親密な恋人関係にありましたが、結婚に発展するのを非常に恐れていました。赤い蔦は、男女の情熱的な愛と二人の間の強烈な諍いを象徴しています。逃げ出してきた男、つまりムンクは、二人の間の熱い愛とそのためにどうしても激しくならざるを得ない対立の二つの感情のせめぎ合いに、耐えられなかったのでしょう。燃え上がる赤い蔦のほかは、寒々とした光景です。葉を落とした裸の木も、白く無表情な柵も、男の逃げてきたどろんこ道も、男を無関心に眺めているように見えます。
制作年
1900年
素材/技法
油彩
制作場所
ノルウェー
所蔵美術館
ジャンル