死せる母Ⅰ

Dead Mother I

エゴン・シーレ

作品解説
母と子の死を描いた「死せる母Ⅰ」は黒々とした背景と灰色の肌の母、血のように赤い手を持つ子といった不気味な構図が印象的です。赤ん坊と母親の「生」と「死」が強く対比された作品と言われていますが、母が子を抱き込むこの作品は、聖母子像を髣髴とさせます。エゴンシーレは1910年から1911年にかけて「死せる母」という題名の作品を多く手がけており、母親の顔がシーレ自身の顔に置き換えられている作品もあります。エゴンシーレはこの頃愛人を妊娠させてしまい、中絶手術を受けさせたと言われています。その影響から死についての題材を手がけるようになったのかもしれません。彼はスペイン風邪によって28歳で亡くなっています。
制作年
1910年
素材/技法
鉛筆、油彩、板
制作場所
オーストリア
所蔵美術館
ジャンル