争闘(猫)
Cats
藤田嗣治
作品解説
猫を好んで多く描いた画家としても知られる藤田嗣治、その中でも最もよく知られた作品がこの「争闘(猫)」です。身を反らし、飛び上がり、転げまわる14匹の猫の格闘する姿が、渦を巻くような大胆な構図と繊細な筆致で描かれています。藤田が語ったところによると、藤田は猫の「温柔しやかさと猛々しさ」の二面性に惹かれていたのだとか。その猛々しさや野獣性が前面に出た作品だと言えるでしょう。この作品が描かれた1940年は第二次世界大戦の広がりを受けて藤田がパリから東京に戻ってきた年に当たり、ドイツ軍が迫るパリで描かれたものです。大戦勃発後の世の中の空気と自身の心境を猫の闘争本能で暗示するかのような画面です。帰国後、1940年初秋の第27回二科展に「争闘」のタイトルで出品されました。
制作年
1940年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
パリ