星月夜
The Starry Night
フィンセント・ファン・ゴッホ
作品解説
「星月夜」は、ゴッホが晩年フランスのサン=レミ=ド=プロヴァンスのサン・ポール・ド・モゾル精神病院に入院していた時に描いた作品です。部屋の東側の窓から見えた景色に、記憶と想像を加えて描かれたものだと言われています。渦を巻く星空とうねるような糸杉が印象的な絵です。1888年にゴッホは南フランスのアルルで尊敬していたポール・ゴーギャンと共同生活を始めますが、芸術観の違いからしばしば口論となり、精神を病んでいきます。自然をもとにして描くべきというゴッホと、想像による「抽象」を描くべきだと主張するゴーギャンの、芸術についての考え方の対立でした。しかし二人の破局の後に描かれたこの「星月夜」には、表現主義的な象徴画の要素が色濃く表れており、その点について後世様々な芸術史家が解釈を試みています。また糸杉はヨーロッパでは伝統的に「死」を意味する木であったため、ゴッホがこの「星月夜」に象徴的な意味を持たせる意図があったのかという点も、「星月夜」の解釈についての議論の重要な主題となっています。
制作年
1889年
素材/技法
油彩
制作場所
フランス