薔薇

Roses

フィンセント・ファン・ゴッホ

作品解説
精神を病み、フランスのサン=レミ=ド=プロヴァンスのサン・ポール・ド・モゾル精神病院で療養していた頃の作品です。退院前の数週間は状態が安定し、制作意欲も旺盛で、ゴッホは多くの作品を描きました。この「薔薇」はこの時期に2点描かれた薔薇の絵のうちの1点で、もう1点はメトロポリタン美術館に所蔵されています。花瓶からあふれんばかりの咲きこぼれる薔薇の花の生き生きとした描写に、健康を回復したゴッホの喜びが痛いほど満ちあふれています。もともとの薔薇の色はピンクで、背景や葉の緑と効果的なコントラストを描いていましたが、残念ながら今日では全体的に退色しています。しかしゴッホのエネルギッシュな筆づかいや薔薇の瑞々しい情感は、今日のわたしたちにもゴッホのこの時の喜びを伝えてくれます。
制作年
1890年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
フランス
所蔵美術館
    ワシントン・ナショナル・ギャラリー