ファン・ゴッホの寝室

La chambre de Van Gogh a Arles

フィンセント・ファン・ゴッホ

作品解説
この作品「ファン・ゴッホの寝室」には、3つのバージョンが存在します。こちらは、サン・レミの精神病院で療養している時に描いた、3番目のバージョンです。第1バージョンが描かれたのは、ゴッホの人生の最も幸せな時でした。アルルへ移りポール・ゴーギャンとの共同生活を控え、自分の芸術の新たな展望の予感に胸を膨らませていた時期です。しかしゴーギャンとの共同生活は破綻し、ゴッホは精神を病み、サン・レミの精神病院に入院することとなりました。その療養中に、第2バージョンと第3バージョンが描かれます。これら3つのバージョンは同じ題材を同じ構図で描いているのですが、色の使い方や表現に違いが生じています。第3バージョンの特徴は、3つのうち最もサイズが小さいことと、床に茶色がかったグレーを使用していることです。第1バージョンの希望にあふれたバラ色の床や第2バージョンの強く厳しいタッチと比較し、ゴッホの状況や心境の変化と合わせてこの絵を見ると、見えてくるものがあるのかもしれません。
制作年
1889年
素材/技法
油彩
制作場所
フランス
所蔵美術館