オーヴェルの教会

L'eglise d'Auvers-sur-Oise, vue du chevet

フィンセント・ファン・ゴッホ

作品解説
この作品は、ゴッホの最晩年、パリリ北西のオーヴェール地方で友人である精神科医ポール・ガシェのもとで療養生活を送っていた時に描かれた作品です。オーヴェールにあった実在の教会を描いた絵ですが、かつてゴッホがオランダニューネン地方で暮らしていた頃の作品を彷彿させる情景です。この作品が描かれた頃、ゴッホはかつて暮らした北の地方への郷愁が募っていたと言われています。複雑にうねる深い青色の空を背景に、少し輪郭の歪んだ厳めしく重厚な教会の存在感。これらをその頃のゴッホの不安と苦痛、圧迫感の表れと解釈するか、画家としてのゴッホの個性的な対象表現と解釈するか、はたまた教会への厳粛な態度の表れと取るかは意見の分かれるところですが、ゴッホ最晩年の特徴である長めの筆づかいと明確な色彩対比、そして精神的な迫真性は、ゴッホ作品の中でも圧巻の出来栄えと言えるものです。
制作年
1890年
素材/技法
油彩
制作場所
フランス
所蔵美術館