郵便配達ジョセフルーラン

Portrait of the Postman Joseph Roulin

フィンセント・ファン・ゴッホ

作品解説
「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」は、ゴッホのアルル時代の作品です。近隣に住むルーラン家の人々を描いた一連の肖像画のひとつであり、ジョゼフはゴッホの友人で心の支えとなった人物でした。ルーラン家の人々は、アルルでの充実した時期もその後の精神的に苦しんだ時期も、ゴッホに寄り添い助けてくれたといいます。ゴッホは肖像画を描くことに情熱を捧げましたが、一方でモデルを雇う経済的なゆとりはありませんでした。ルーラン家の人々はジョゼフ、妻オーギュスティーヌ、長男アルマン、次男カミーユ、赤ん坊の末娘マルセルまでゴッホのモデルを務めてくれ、一家の肖像画は20点以上も残されています。ゴッホはモデルのお礼として作品をそれぞれに贈り、親しい付き合いを続けていたといいます。この「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」は、ルーラン家の人々の肖像の中でも、最も有名な一枚です。ルーラン夫妻は、ゴーギャンとの破局以降精神の均衡を崩したゴッホを温かく支え続け、ゴッホは「年長の軍人が年下の兵に接するような寡黙な厳しさと愛情を注いでくれる」とその存在の大きさをテオへの手紙に残しています。
制作年
1888年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
フランス
所蔵美術館