森の掟
Law of the Jungle
岡本太郎
作品解説
ジャングルのような深い緑の森を、切り裂くような真っ赤な怪獣。小さな生き物を捕食する獰猛な怪獣の背には、着ぐるみのようなファスナーが光り、それが「作り物」であることを示しています。前年1949年制作の油絵「重工業」と並び、岡本太郎が独自に提唱する対極主義を表現したこの作品は、社会における巨大な権力を怪獣に例え、その中身は空虚であることを痛烈に批判しています。対極主義は、既成概念や従来の思想に依存せず、対極的な概念を矛盾もろともぶつけることで新たな世界観を獲得できるという考え方で、太郎の芸術を通徹する思想ともいえます。
制作年
1950年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
日本