傷ましき腕

Sad Arm

岡本太郎

作品解説
フランス滞在当時の1936年に岡本太郎が制作した「傷ましき腕」は、真っ赤なリボンと皮膚を螺旋状に切り取るように開かれた腕の肉色が印象的な油彩画です。パリでパブロ・ピカソの表現に感銘を受けた岡本太郎でしたが、創作活動を進めるうちに抽象的なアート表現に行き詰まりを感じ、次第に現実的なモチーフを描く作品が増えていきます。そんな中で1936年にパリの「サロン・デ・シュランパンダン」展に出品されたのが「傷ましき腕」でした。えぐられるような傷みを鑑賞者に訴えかける同作は、後に日本に渡ったものの東京大空襲により焼失。読売新聞の記者・海藤日出男の熱い要望により1949年に再制作され、読売新聞社主催の「現代美術自選代表作十五人展」で広く知られることとなりました。シュルレアリスムのテイストも感じられる作品です。
制作年
1936年、1949年再制作
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
フランス、日本
ジャンル