台所のテーブル(籠のある静物)

La table de cuisine(原題)

ポール・セザンヌ

作品解説
「台所のテーブル(籠のある静物)」は、セザンヌが手掛けた静物画の中でも際立った傑作のひとつです。セザンヌ以前、静物画はどちらかと言うとなおざりにされていましたが、静物画の価値を高めたという点で、セザンヌの果たした役割は極めて大きなものです。自分の好きなように配置を決めることができるうえ、人物と違って不平を言うこともない「静物」を描くのは、セザンヌの性格にとても合っていました。いまにも転げ落ちそうに不安定にテーブルの上に並べられた果物と籠や、明らかに視点がズレている水指と花瓶など、この作品で早くもセザンヌは新しい試みを実践しています。セザンヌの静物画の技法は、ピカソをはじめのちのキュビズムや抽象画家たちに多大な影響を与えており、「近代絵画の父」と呼ばれるようになりました。
制作年
1888年 - 1890年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
エクス=アン=プロヴァンス
所蔵美術館