リンゴとオレンジ

Pommes et oranges(原題)

ポール・セザンヌ

作品解説
「りんごとオレンジ」はセザンヌの静物画のなかでもっとも華やかで迫力ある作品で、セザンヌの代表作です。不自然に盛り上がったテーブルの上に、これまた不自然に果物と水指が配置されており、白いクロスの幾何学的なジグザグのラインが全体の構図に調和と安定感をもたらしています。画面の中にはさまざまな視覚的な「遊び」があり、現実の構図だけじゃなく、それを画面上にどう表現するかも、セザンヌは緻密な計算に基づいて行っています。一見すると不安定な構図にもかかわらず、見る物に不思議な安定感と調和を感じさせるのは、単に色彩の統一感によるものではなく、画面の中の幾何学的な要素が安定感のある配置で組み込まれているためです。この作品に描かれている静物はどれも他の作品でも繰り返し使われており、セザンヌが構図を計算するための試行錯誤を繰り返したことが分かります。
制作年
1899年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
エクス=アン=プロヴァンス
所蔵美術館