母子

Mother and Child

上村松園

作品解説
明治期京都の町家の婦人の姿であり、幼児の無垢で純真な性質と、美しく安心感のある母親の頼もしさを表現した上村松園の『母子』は国の重要文化財に指定されています。本作は1934年に製作され、この時期に松園の理解者であり支えであった母・仲子がこの年の2月に亡くなったことが大きく関係しています。眉を剃った女性は母への追慕を示しています。お歯黒をした女性が幼児を抱き上げる様子は自分と母の過去を重ね合わせたものだと考えられます。この作品は第十五回帝国美術院展覧会に出品された作品ですが、当時急激な西洋化が進む日本と美術界に懸念を示し、このような古き良き日本の母子の姿を描き表したと言われています。
制作年
1934年
素材/技法
絹本著色
制作場所
京都
所蔵美術館
    国立近代美術館