娘深雪

Daughter Miyuki

上村松園

作品解説
『娘深雪』は1914年の上村松園の作品です。浄瑠璃『朝顔日記』のヒロイン深雪を描いたものです。浄瑠璃『朝顔日記』は秋月家の娘深雪(みゆき)が恋人の宮城阿曾次郎(みやぎあそじろう)を慕って家出し、盲目の門付芸人朝顔となり,恋人の残した歌をうたいながら流浪するという物語です。この絵では、恋人からもらった扇に見入っている最中、人の気配を感じ、あわてて袂に隠して振り向いたところが描かれています。恋人を想う娘のうぶで可憐な姿をとらえた、松園の大正期を代表する名作です。「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願」と上村松園は言い、この作品はその言葉に沿った崇高な美人画です。
制作年
1914年
素材/技法
不明
制作場所
京都
所蔵美術館